ウィーン、我が夢の街(19)


4月6日(月)

 今日もまずまずの天気。やや肌寒さが戻ってきたが、「日本より一ヶ月前の気候」と聞いていたから、このくらいだろう。

 このホテルで朝食を食べるのも、今日と明日の2回。別に豪華な食事というわけではないのだが、牛乳、バター、パン、野菜といった、ごくありふれた食材そのものの味がよいので、何を食べてもおいしい。もっとも、昼や夜は出先でたくさん食べるので、朝は控えめにしておく。

 今日は、まず、地下鉄でミッテ駅に行ってみた。うさぎが、ヒルトンホテルにあるブティックを覗きたいということで、それが目当てであったが...。

 いままでは、地下鉄の駅しか見ていなかったが、地上の鉄道も乗りいれている駅だけあって、なかなかにぎやかであった。

 お目当てのヒルトンホテルのブティックは、さして興味をひかれるものもなく、15分ほど眺めただけで退散。

 駅ビルにあるショッピングセンターで、大型のビニールバッグを買い求めた。すでに大量の楽譜やらパンフレットやらで、持ってきたスーツケースだけではとても帰りの荷物を処理しきれない状態になっている(^_^;)。

 地下鉄でカールスプラッツに戻り、国立歌劇場横のファッションビルに行き、うさぎはイヤリングを購入。それから、私は母へのお土産にハンドバッグを買った。お店の人は非常に親切で、ともかく物怖じしないで、「見せて欲しい」「試させて欲しい」「これこれこういうものを探している」という意志をはっきり伝えると、本当によく付き合ってくれる。別に流暢な会話などできているわけではない。「メイ・アイ・トライ?」とか「ギフト・フュー・ムッター」とか、めちゃくちゃではあるが、ともかく口に出していってしまう。母のハンドバッグを選ぶときなど、金具の飾りのないものが欲しかったので、「ノー・メタル・デコレーション」と言ったら、何とかわかってくれたようだ(笑)。ほとんど、さんまのからくりテレビの「ファニエスト・イングリッシュ」の世界である。

 昼食は、カールスプラッツ駅地下の売店でかったサンドイッチ。これをホテルに戻って食べた。

 昼食後、うさぎは部屋で休養するということで、私はドナウ川を見に行くことにした。ホテルを出て、地下鉄(U4)でシュヴェーデンプラッツまで行き、ここでU1に乗り換える。

 途中で、一瞬トンネルから出て川(というより運河か)にかかっている橋を渡り、再びトンネルに入るという、丸の内線お茶の水駅モード(なんだよ、それ(笑))を経た後、ほとんど地上を走る。

 まず、アルテ・ドナウ(旧ドナウ)まで行き、下車。両側に木の植えられた細い川のようなものがあった。これが旧ドナウ川のなごりのようである。駅周辺を少しだけ歩き回り、反対方向への地下鉄に乗車し、ドナウ・インゼル駅で下車。ここは、新ドナウ川の中州のようなところである。

 ホームに降りたが、誰もいない。階段を降りて、駅の外に出てみたが、殺風景を絵に描いたような景色。まぁ、風がビュービューと吹いていて、雨でも落ちてきそうな天候であるからやむをえないだろう。スケートボードをやっている少年たちだけが目立っていた。

 駅の高架を離れて、川岸に出てみた。「美しく青きドナウ」というのとは、だいぶイメージが違う。川幅はとても広く、ビュービューと風が吹き渡っている。青いというより黒い帯である。

黒きドナウ(笑) ドナウタワー


 背中側にドナウ・タワーがそびえている。川岸の公園のようなところを少し歩き、写真を撮った。寒いことこのうえない。このままふらふらして風邪でもひいたらえらいことになるので、20分ほどあたりを散策してから地下鉄に乗り、ホテルに戻った。

 昼間に買ったバッグを広げて、荷物の整理をする。疲れたので、ベッドに横になり、少しだけ昼寝をする。

 目が覚めたところで顔を洗い、身支度をする。この日のために持ってきたタキシード。このタキシードを着たのは、平成4年の結婚パーティー以来である。それ以来、ちょっときつくて着れなくなっていたのが、ここ1年の大減量で日の目を見たというわけである。

 身支度を整え、コートを羽織って、ホテルを出る。

 夕食はいわずとしれたミューラーバイスル。国立歌劇場からも遠くないから、タキシードを着ていても、決して浮いたりしない。

 私は、クヌーデル(肉団子のようなもの)入りのスープ、うさぎは細切りクレープ入りのコンソメスープ。そしてメインは、私が鶏の胸肉のグラタン風(チーズ焼き)。うさぎが、ほうれん草入りのパラチンケン。オペラが控えているので、軽くおさえた。

鶏の胸肉のチーズ焼き 付け合わせのパン・オレンジジュース・スプリッツァー


 クヌーデル入りのスープは、肉団子のつみれ汁といった感じ。結構味が濃くて、パンに良く合う。鶏肉のチーズ焼きは、胸肉を使ってあるので、あまり脂っこくなくておいしかった。

 40分ほど食事を楽しみ、いよいよ国立歌劇場に向かう。


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