ウィーン、我が夢の街(12)


4月4日(4日目)

 午前7時50分起床。もう少し寝ていてもよいのであるが、寝ているのが勿体無い。

 今日は、午後3時から、いよいよウィーン・フィルを聴く。ということで、昼には遠出はせず、市内で買い物などをすることにした。2日目の夕食を食べたときに見つけた「ドプリンガー」に行くことにした。ただし土曜日なので、正午までしか開いていない。

 もう一つの懸案が、トーンキュンストラー管弦楽団のコンサートの件。やはり聴きたいという腹が決まったので、うさぎにもちかけたら、あっさり「うさちゃんは遠慮しとくよ。ブーちゃん行ってきたら良い。」ということに。

 朝食を終えて、すぐ、ホテルのロビーにある代理店のデスクに行った。翌日の5日の午後、ウィーンの森への半日観光を申し込むためである。デスクにいるスタッフはときどき変わるが、その日のスタッフは、ウィーン交響楽団のチケットをとってくれた女性であった。もちろん、このスタッフは日本語をある程度話すことができる。

 まず、半日観光(バスによるもの)については何の問題もなくOK。そして、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団のコンサートのチケットがとれるかを聞いてもらうことにしたが、まだ9時前で楽友協会のチケットセンターが開いていないということで、一旦部屋に引き揚げ、出かける用意をしてからもう一度デスクに立ち寄ることにした。

 部屋で身支度を整え、再びロビーに。さっそくチケットの手配を試みてもらう。幸い、1階サイドのバルコニー席が空いているということで、その席をとってもらう。

 「キノウノ ヴィーナーシンフォニカーハ ドウデシタカ」と聞かれたので、「あの席は、ムジークフェラインのステージに用意された席で、まるで一緒に演奏しているようなポジションで聴くことができました。素晴らしい演奏会でした。」と興奮気味に答えた。彼女は「ソレハ ヨカッタデスネ。キョウ トレタセキハ イカガデスカ」というので、「今日の席も素晴らしい席ですよ。」と答え、丁重にお礼を言った。仕事といってしまえばそれまでであるが、私にとって、良い音楽に接する機会を与えてくれる人は、みな、大切な人である。

 また、今日で、交通機関の72時間のパスが切れるので、同じく72時間乗車できて、各種の割引サービスがあるという「ウィーン・カード」というのを買うことにした。

 これは、ホテルのフロントでも買えるし、町中でも購入できるが、いろいろとチケットをとってもらったこともあり、同じく代理店のデスクで買うことにした。

 「ツカイカタ ワカリマスカ」と聞かれ、うさぎが、ガイドブックに書いてあるままをベーラベラベラと暗唱する(^_^;)。スタッフ、驚く(笑)。

 ついでに、音楽ショップの「ドプリンガー」の場所を確認しようと、うさぎが、関西なまりで「ドブリンガーってどこですか。」と尋ねた。しかし、スタッフの女性は首をかしげている。ガイドブックを取り出して見せる。「アー。ドゥプリンガー。」判ってもらえたようである(笑)。


 場所の見当をつけて、ホテルを出る。もう何回目か判らないが、地下鉄に乗り込む。さすがにドアの開け閉めは何の問題もなくできるようになったが、うさぎはあいかわらずドアのハンドルを力任せに真横に引っ張るから、なかなか開かない(笑)。

 カールスプラッツ駅でまたまた数枚の葉書を投函する。地上に出て、ケルントナー通りを歩く。2日目の夜の道を逆にたどっていく。たしか噴水のとこを曲がって、ちょっと行ったところの路地を入って...あった。

 店に入る。そんなに広い店ではなさそうである。真ん中あたりにサービス品のコーナーがある。みると、常動曲の木管アンサンブル版がある。これは楽しそうだ、と思い、とりあえず確保。

 商品の展示スペースは、ヤマハや山野楽器の方が遥かに広い。棚のようなところをあれこれと眺める。日本の楽譜があったりする。絵葉書に、なかなか良いものがあった。ブルックナー、ブラームス、ワーグナー...。パヴァロッティのもあった。あれこれと確保。

 再び楽譜を眺めていると、ブルックナーのコーナーがあり、日本にも輸入されているブルーの装丁の楽譜がたくさん並んでいた。レクイエムがあったので、これを確保。

 ほかにあれこれと眺めていたら、結構年配の店員さんが、「何かお探しで」と声をかけてきた。まぁ、お探しってほどでもないんですがね〜という軽口をたたくほどの会話力はないので、「合唱曲の楽譜はどこにあるか。たとえば、ブルックナーのヘルゴラント」と言ったら、隣の建物の2階にあるといわれた。

 そこで、とりあえずここでの勘定をすませようとしたら、やおら、その年配の店員さんから「出たばかりのブルックナーの書簡集がある。これは持っておくべきである。」と勧められた。見てみると、すべてドイツ語だが、ニキシュに宛てた手紙等が含まれていて、結構面白そうである。ということで、お勧めに従い、その書簡集も購入することにした。

 隣の建物の二階に行ってみた。そこはまるで図書館のような感じ。カウンターがあり、店員さんの背中の壁は、全部楽譜の棚になっている。

 さっそく、「アントン・ブルックナー、ヘルゴラント」といったら、すぐ出てきた。ピアノ伴奏版とオケの正式版とがあったので、後者を購入。ついでに大学時代に歌った、ブラームスの男声合唱曲「5つの歌」の楽譜がないか捜してもらったが、こちらはなかった。

 ということで、ドプリンガーで1時間半ほど過ごし、次はお土産を物色することにした。


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