2001年7月の日記
2001/07/26
今日は夕方、弁護士会の派閥(笑)の内部の研修会があった。普段はあまりこういう集まりには出ないのであるが、ロースクールの問題についての勉強会、さらには弁護士会でロースクールを設立するという前衛的な「構想」が議題になったので参加したというわけ。
弁護士会がロースクールを作るということは、そう簡単にいくことではない。要するに「学校法人」を一つ作るということだから。しかし、このような構想が出てきた原因には、非常に共感を覚える。それは「大学・研究者に対する不信感」である。司法制度改革審議会が動き出し、ロースクールということがにわかに現実のものになってから、学者が盛んにこの問題について発言をしている。しかし、その多くが「テメエラ、ふざけんじゃねえよ」といいたくなるものばかりである。月刊司法改革や日弁連の法務研究財団から出ている「次世代法曹教育」という本を見ても、学者は自分たちがやっていることは正しくて、実務のあり方が間違っているとほざいている。たとえば法務研究財団の次世代法曹教育の中で司法研修所教官経験者の弁護士から、大学教育は予備校に負けたのだといわれても「受験指導に負けたかもしれないが教育に負けたわけではない」とか訳のわからない寝言をつぶやいているだけなのだ。そのくせ、こいつらはプライドだけは高いから、こんな奴らに実務家養成の「権益」を与えれば、ロースクールが「白い巨塔」になりかねない。
それをぶちこわすためには、弁護士会から教員を大量に送り込む必要があるが、大学ではそこそこのポストに上り詰めて定年退官した元検事や元判事を「実務家教員」と僭称してごまかそうとしている。冗談ではない。法曹養成をこんなでたらめなシステムにするために臨時総会で賛成したわけじゃないぞ。高裁長官や高検の検事長だとかは、いわば病巣のトップにいった奴らだろ。こいつらを、司法改革の担い手を養成するロースクールの指導者にしてどうするんだよ。こういうアホどもへのアンチテーゼとして、弁護士会が理想のロースクールを作るというのは良いかもしれない。
2001/07/20
6月21日と7月18日に司法演習の受講生を対象に、裁判の現場の見学会を行った。東京地裁で刑事事件の法廷傍聴+弁護士会見学+事務所見学+食事会というプログラムであったが、結構楽しんでもらえたようだった。自分が学生のときにはこんなのなかったし。自分のときにあったらよかったのにと思うことを、どんどんやっていこうと思っている。モットーは「仇を恩で返す」ということ(笑)。
それはそれとして、国選の刑事事件を何件か傍聴したが、一部の爺さんたちの、あのイタイ弁護活動は放っておけないと実感した。いままで「受任してください」っていうハガキ来ても「めんどくさいから」って放置していたが、その結果があれではやっぱよくないわ。学生達が幻滅すること請け合い。だから受任することにした。言っておくが、弁護士会からのお達しに服するというつもりは毛頭ない。まして「ぷろぼの」とか「しめいかん」とかいう無内容の言葉なんか相手にしない。動機は、傍聴してみて「俺ですら、もうちょっとましな弁護活動が出来そうな気がする」ということだけ。
2001/07/15
司法演習(前期)が終わった。試行錯誤しながらなんとか駆け抜けてきたという感じであった。予備校の講義だったら、他の講義とかは意識せずに、知識をどんどん伝授していけばいいのだが、大学の司法演習にエントリーしている学生は、すべてがすべて司法試験受験を指向しているわけではないので、そういう人たちを置き去りにしないようにするのに、いろいろと工夫してみた。通常であれば、学部の講義が先行していて、ゼミではその応用という形になるのだが、今回はゼミの方が先行する形で進んでいったので、正直いってやりにくかった。もちろん学生に「授業の進度には関係なく予習してこい」というのは簡単であるが、そういうことをいって教育効果があがるとは到底考えられない(笑)。
ということで、知識はないことを前提にゼミを組み立てることにした。そうなると、いかに「知識を前提としない質問」を用意できるか、あるいは予想されない学生の反応に対して質問をつないでいくかが勝負になる。これは「反対尋問」「取り調べ」に通じるところがある。要するに、毎週「反対尋問」と「取り調べ」を抱えていたようなものであった。なかなかしんどいものであったが楽しくもあった。
ただ、あまり細かく質問を用意したり、計画的な質問の仕方をしていなかった(あんまりガチガチにしてしまうと、柔軟な応対ができなくなってしまう)から、学生への当て方がやや偏ったり、質問が何をいっているのか判らなかったようなことはあったようだ。後期は1年生が相手だから、さらに工夫をしないと大変だろう。でもやりがいのある仕事である。
ということで、ちと気持ちにゆとりが出来たので(仕事はあるんだけどね)、演奏会レポートをひとつ更新しました(ウィーン国立歌劇場合唱団)。
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