ピエトロ・バッロ テノールリサイタル


日時:1999年12月16日(木)午後7時〜
場所:東京オペラシティコンサートホール
出演:ピエトロ・バッロ(テノール)
   サイ・イェングァン(ソプラノ)(*)
   マルコ・バルデリ(ピアノ)
曲目:トスティ/「セレナード」「もはや君を愛さず」
   ガスタルドン/禁じられた音楽
   ビクシオ/マリウ、愛の言葉を
   デ・クルティス/ティ・ヴォリオ・タント・ベーネ
   プッチーニ/「ラ・ボエーム」より「冷たい手を」「私の名はミミ(*)」「愛らしい乙女よ」
   ビクシオ/ディンミ・トゥ・プリマヴェーラ
   ディ・カプア/あなたに口づけを
   マスネ/「ウェルテル」より「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」
   フロート/「マルタ」より「うるわしい君の姿はまぶたを去らない」
   チレア/「アルルの女」より「フェデリーコの嘆き」
   ヴェルディ/「リゴレット」より「女心の歌」
   施 光南/愛する小鳥よ(*)
   ヴェルディ/「椿姫」より「乾杯の歌」
  (アンコール)
   ディ・カプア/オー・ソレ・ミオ
   川の流れのように
   デ・クルティス/帰れソレントへ
   ビクシオ/マンマ
   デ・クルティス/帰れソレントへ

 この公演、もともとは6月に予定されていたのが12月に延期になったものでした。あまり広告をしていなかったので、売れ行きはどうなのかと思ってホールに足を運んだのですが、案の定、ガラガラ。これだけホールが閑散としているのは初めてでした。
 バッロという人は、今まで知らず、たまたまオペラシティのチケットセンターに足を運んだ際に出ていたので、とりあえず買ってみたというのがきっかけでした。
 ところが、歌声を聴いてびっくり。かるーくて、三大テノールでいえばパヴァロッティ系の声を持っているのです。レパートリーもかなり近いものを歌っているようです。
 少ない聴衆も、最初のトスティを聴いた時点で完全に心を捕まれてしまったようで、一曲ごとに、熱狂的な拍手とブラーボの嵐。ガスタルトンの「禁じられた音楽」あたりになると、5割の入りとはとても思えない状況になりました。 共演のサイ・イェングァンも、実に良い声で、ボエームのミミなどは堂々たるうたいぶりでした。  後半は、曲を見ただけで興奮するなというのが無理なようなレパートリーの連続(笑)。それをあのリリコ・レジェーロの声でたっぷりと堪能させてくれるのですから、なんともはや贅沢な話。おまけに、ただ棒立ちで歌うのではなく、ほとんど舞台のように演技をつけてうたってくれて、その情熱は客席にもビンビンと伝わってきました。
 アンコールも、「私のレパートリー」(笑)を歌ってくれました。「川の流れのように」はCDが出ていたので、たぶん歌うだろうと思ったのですが、最初はイタリア語(CDはこちら)、二回目はカンペを見ながら日本語できちんと歌ってくれました。また涙腺が刺激されてしまいました(^_^;)。
 最後は総立ちで拍手の嵐。空席がもったいないという気持ちと、できればあまり知られすぎないでほしいという気持ちが半々でした。6月の二国のリゴレットに出演されるとのことで、これは絶対「買い」です。ヌッチ、ロスト、バッロと粒ぞろいのキャストがそろうようですから。

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