アンサンブル・メルクス=ニーダーマイヤー「ウィンナワルツの夕べ」


日時:平成11年11月16日(火)午後7時〜
場所:東京芸術劇場大ホール
出演:エドゥアルト・メルクス(ヴァイオリン)
   アレクサンダー・クリンス(ヴァイオリン)
   ミヒャエル・シュテューベ(ヴィオラ)
   ゲラルド・ゾンネック(チェロ)
   クラウディオ・ガスパローニ(コントラバス)
   マインハルト・ニーダーマイヤー(フルート)
   ハンネス・モーザー(クラリネット)
   ギュンター・ヘーグナー(ホルン)
   ペーター・ホフマン(ホルン)
曲目:ヨハン・シュトラウス2世/ワルツ「春の声」
        同      /ワルツ「ウィーンの森の物語」
   ヨハン・シュトラウス1世/アモレテン カドリール
   ヨハン・シュトラウス2世/アンネン ポルカ
        同      /ワルツ「ウィーン気質」
   −−−−−−−−(休憩)−−−−−−−−
   ヨハン・シュトラウス2世/オペレッタ「ジプシー男爵」より行進曲
        同      /オペレッタ「こうもり」よりクープレ
   ヨゼフ・シュトラウス  /ポルカ・マズルカ「女心」
   ヨハン・シュトラウス2世/ワルツ「芸術家の生涯」
        同      /ピチカート・ポルカ
        同      /トリッチ・トラッチ・ポルカ
        同      /皇帝円舞曲   (アンコール)
        同      /ワルツ「美しく青きドナウ」
   ヨハン・シュトラウス1世/ラデツキー行進曲


 曲は、見てのとおりのもの。で、奏者がニーダーマイヤー、ヘーグナーというウィーン・フィルのメンバーをはじめ、ウィーン系で固めているのだから、いい演奏にならないはずが...あった(^_^;)。

 ともかく、弦セクションと管セクションとが全く溶け合わない。管は、クラリネットのモーザー、ホルンのホフマンともウィーン・フィルで演奏することもある(正規のメンバーではない)ためか、比較的整っていたが、弦が...。

 第一ヴァイオリンを弾いたメルクスという人は、ウィーンの国立音大の教授であったと書かれているが、今ひとつ音色が雑であった。どうしても、この手のアンサンブルだと、ウィーン・リング・アンサンブルの音色、そしてキュッヒルさんのヴァイオリンが基準となっているので...。

 後半は少し立ち直ったかと思ったが、ピチカート・ポルカでは音が抜けたり、肝心なアンコールの「青きドナウ」の冒頭のトレモロでは「ドミソ」のソの音がよく聞こえないので、変な風に聞こえたし(ヘーグナーさんのホルンはいつも通りだったが)、ラデツキーに至っては、明らかに弦セクションのテンポが定まらないため、正確に打たれる客席の手拍子(笑)とずれてしまい、聴衆側がとまどって手拍子を止めてしまうという、ていたらく。あれだったら、私が4月にANAグランドホテルのサロンコンサートで振ったラデツキーの方が、まだしっかりしたテンポだったぞ(爆)。

 あわてて、ヘーグナーさんとニーダーマイヤーさんがトリオの後の再現部のところで、大きく指揮をして手拍子を促したが、客席は別に遠慮していたのではないのだ。

 てなわけで、ウィーン・リング・アンサンブルが毎年事もなげに繰り広げるウィンナワルツやポルカのコンサートが、実は極めて卓越した技術にささえられているということを、今回のコンサートで改めて感じた。

 ま。今回のコンサート、日経新聞の主催で、極めて低廉な価格でチケットが提供されている(Sで2000円)。弦セクションももっとよくするためには、あのチケット代では無理なのかもしれない。

 しかし、そうなると、同じく日経新聞が来年主催する「イタリア・コンサート・シリーズ2000」で来日する「トスカニーニ交響楽団」というのが、いったいどんなシロモノか、楽しみである。仮にもトスカニーニの名をつけているオケであるが...


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