朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団特別演奏会


日時:平成11年11月5日(金)午後7時〜
場所:サントリーホール
出演:大阪フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
   朝比奈隆(指揮)
曲目:ブルックナー/交響曲第7番ホ長調(ハース版)

 どういう趣旨でこの特別演奏会が企画されたのかは判らないのですが、結果的にサントリーの佐治会長を送るコンサートになってしまいました。特にメッセージがあったわけではないのですが、大フィルの団員、そして朝比奈先生は、喪章をつけてステージに立たれていました。
 「朝比奈・大フィル・ブル7」というと、どうしても例の聖フロリアン教会での演奏を連想します。今年の春に、現地(教会の大理石の間)に巡礼してきただけに、なおさら、その思いは強いです。しかし、朝比奈先生の音楽づくりは、そういった「情念」のようなものとは正反対。近年の傾向を更に徹底しているのか、かなり速いテンポでした。特に第二楽章がかなり速いのには驚きましたが、最後の「ワーグナーの死」を暗示するところから終結までは、じっくりと溜めた音楽で、まさしくレクイエムでした。第三楽章はパワー全開で、力感満点のスケルツォ。フィナーレは再び、ややテンポを速めに保って駆け抜け、最後でぐーっと力をためて解放するという感じでした。
 終演後、団員にあまり笑顔がなかったのは、佐治会長への追慕の念だったのか...。

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