都響スペシャル


日時:平成11年10月24日(日)午後6時〜
場所:サントリーホール
出演:ガブリエレ・シュナウト(ブリュンヒルデ)
   緑川まり(ジークリンデ)
   アルフレッド・ムフ(ヴォータン)
   羽根田宏子(ヘルムヴィーゲ)/新居佐和子(オルトリンデ)/佐藤志保(ジークルーネ)/水野恵子(グリムゲルデ)
   田中三佐代(ゲルヒルデ)/菅有実子(ヴァルトラウテ)/服部真紀(ロスヴァイセ)/津久井明子(シュヴェルトライテ)
   東京都交響楽団(管弦楽)
   エリアフ・インバル(指揮)
曲目:ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第三幕

 有名な「ワルキューレの騎行」から始まる第三幕です。この日もインバル率 いる都響は、実にねばり強い音楽を聴かせてくれました。  ワーグナーってのは、ともすると壮大だとか長大だとかというイメージで、 ボリュームで攻めてくるように勘違いしてしまうのですが、決してそうではあ りませんね。たしかに、物語全体は長いですが、一つ一つの構成要素は実に繊 細で、室内学的な香りさえ感ずるところがあります。  台詞と音楽(ライトモチーフ)との関係など、細かく突っ込んでいくといく らでも楽しめそうですが、それをしなくても堪能することができました。  第三幕で好きなのは、なんと言っても最後の「さようなら、勇ましい我が子 よ」です。METのレヴァインのガラ・コンサートでは、ジェイムス・モリス が素晴らしいヴォータンを歌ってくれましたが、この日のムフのヴォータンも なかなか堂々たるものでした。  シュナウトも素晴らしい歌声を披露してくれましたが、日本人のワルキュー レたちの中にも、一人二人、「をっ」と思わせる声がありました。  しかし、せっかく三幕やったのだから、このまま「演奏会形式」で終わりに するのではなく、このキャストで新国立劇場でかけてみてはどうなのでしょう か。ジークムントを、もちょっといい人にしてくれたら、なおうれしい(笑)。

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