日時:平成11年10月19日(火)午後7時〜
場所:サントリーホール
出演:ガブリエレ・シュナウト(ブリュンヒルデ)
緑川まり(ジークリンデ)
寺谷千枝子(フリッカ)
田中 誠(ジークムント)
アルフレッド・ムフ(ヴォータン)
戸山俊樹(フンディング)
東京都交響楽団(管弦楽)
エリアフ・インバル(指揮)
曲目:ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第二幕
3月末に第一幕を聴いて、10月に第二幕・第三幕というのは、ちょっと間が開きすぎの感もありますが、なかなかの好演でした。
まずはシュナウト。ウィーンで「パルシファル」のクンドリを聴きましたが、今回はそのときにも増して圧倒されました。第二幕の冒頭で「ホヨトホー!」を聴かせてくれるのですが、あの一声でもう参ってしまいました。
ムフは初めて聴く歌い手ですが、フリッカとの「聖なる夫婦げんか(笑)」と、長い愚痴をたっぷりと楽しませてくれました。
対するフリッカを歌った寺谷千枝子ですが、ちょっとアクの強さが物足りないというか、ヴォータンが辟易とするだけの説得力が、もう少しほしいと思いました。
特筆すべきは、オケの音色。しかし、都響というのは不思議というか正直というか、これだけ指揮者によって出来不出来の差がはっきりとするオケも珍しいです。時には、会場に催眠ガスでも流しているのではないかと思われるくらい退屈で眠気を誘う演奏をするかと思うと、一転して「ヨーロッパの一流オケが都響の着ぐるみを着て演奏しているのではないか。」と思わせるような凄い演奏をしたりする。
もっとも、オケの自律的演奏だけではいかんともしがたいものがあり、そのプラスアルファを引き出すことこそが指揮者の役割だということもあるかもしれない。潜在力があるのだから、聴衆としては、潜在力を引き出せる指揮者を数多く登用することを、運営者サイドに求めることになるでしょう。