大阪フィルハーモニー交響楽団第38回東京定期演奏会


日時:平成11年7月18日(日)午後2時30分〜
場所:サントリーホール
出演:大阪フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
    朝比奈隆(指揮)
曲目:シューベルト/交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」
           /交響曲第9番ハ長調D.944「ザ・グレイト」


 昨年は、ブル5の圧倒的かつ壮大なる名演を聴かせてくれた大フィル東京定期。ここ数年は大曲一曲だったのが、今回は久々に前半・後半のあるプログラムでした。

 この日のチケットは、発売直後に売り切れとなっていたのですが、ホールに行ってみたら、当日券が50枚ほど出ていました。この情報は、毎日更新されるサントリーホールのサイトにも出ていましたから(午前10時30分頃更新される)、あきらめずにチェックしていた人は報われたことになります。

 朝比奈先生は7月9日で91歳になられたのですが、この日もお元気でした。「未完成」「ザ・グレート」とも繰り返しを全部やったので、なかなかボリュームのある音楽になりました。

 特に素晴らしかったのは、後半の「ザ・グレート」。最初のホルンの朗々としたソロから柔らかな弦楽合奏、そして木管との掛け合い。ゆったりとした序奏から、アレグロ・マ・ノン・トロッポのところに入ると、一転して、実に生き生きとした、若々しい音楽。かなり速いテンポで進んでいきます。

 全体を通じて、通常は押さえがちな金管をかなり強く吹かせるという朝比奈流のバランスは健在。第2楽章などは今まであまり気がつかなかったトランペットのファンファーレのようなパッセージがあったりして、なかなか面白かったです。第2楽章の途中で、ゲネラル・パウゼがあるのですが、その一瞬の無音状態の緊張感も久々に味わう心地よいものでした。

 第1楽章の冒頭のホルン、第2楽章の冒頭のオーボエのソロなども実にさえてました。オーボエの奏者の方は、休憩時間にもステージで独奏の部分を丁寧にさらっていました。あんまり真剣なので、大丈夫かと思うくらい(笑)。

 圧巻だったのが第3楽章。かなり速いテンポで、昔ベームの棒で聴いたときより、遥かに若々しい演奏でした。そして、第4楽章。第3楽章の勢いをそのまま引き継いで、一気に駆け抜けたという感じでしたが、ワクワクするような躍動感。91歳の人間がこんなに溌剌とした音楽を生み出すなんて、半分にも届いていない私は、まだ「疲れた」なんて言っていられません(笑)。

 終演後は、相変わらず凄い拍手ですが、聴衆も心得たもので、一般参賀は濃いやつを一回だけで解散しました。

 今年はもう一回朝比奈先生と大フィルの「討ち入り」があります。それも、ブルックナーの7番。あの聖フロリアンの大理石の間で演奏した組み合わせで聴けるわけです。残念ながらサントリーホールのメンバーズ向けの優先申込みの抽選には外れてしまったので、全力でチケット獲得に向かわなければ。  そして、来年の「討ち入り」も是非実現してほしい。
======================= 1999-07-18 (Sun) 22:35:12 ====================


コンサート・レポート99目次に戻る