タリス・スコラーズ「イギリスの音楽」


日時:平成11年6月29日(火)午後7時〜
場所:紀尾井ホール
出演:タリス・スコラーズ
    ソプラノ:デボラ・ロバーツ/テッサ・ボナー/ジャネット・コックスウェル/サリー・ダンクリー
    アルト :キャロライン・トレバー/パトリック・クライグ
    テノール:スティーヴン・ハロルド/フィリップ・ケイヴ
    バス:ドナルド・グレイヴ/フランシス・スティール
    指揮:ピーター・フィリップス
曲目:バード   /この日こそ
            5声のミサ曲
   タヴァナー /いと聖なるキリストのみ母
           慕いこがるるごとく
           われは天の声を聞きぬ
   ホワイト  /わが哀願が近づかんことを
   シェッパード/主よ、御身が手に
           喜びたまえ、キリストのみ母なる乙女
(アンコール)
   タリス   /おお光より生まれし光


 CDではいくつも聴いていたタリス・スコラーズですが、なかなか実演を聴く機会に恵まれず(チケットを買いそびれたりして)、ようやく今回初めて聴くことができました。  上記のように、女声6人・男声4人という構成でしたが、実に幅広く、しかも深い響きを堪能することが出来ました。

 前半のバードは、内省的な、つつましやかな合唱。それにしても、このまっすぐに伸びた声のなんとすばらしいこと。決して無機的ではなく、それでいて余分なビブラートのようなものを一切廃して、まるでオルガンのような響きを声で作ってしまうのです。

 後半の最初は、タヴァナー。最近「ジョン・タヴナー」という作曲家が出てきて(OMPでもとりあげましたね)、最初タヴァナーのことかと思ったら、別人でした(笑)。こちらはバードよりも更に50年ほど古い世代の作曲家で、バードよりも更に素朴な響きの曲です。

 それにしても、凄いな〜と思ったのは、弱音の支えがきっちりと出来ていて、当たった響きがずーっと長く歌えることです。大きな音を出すというのは、声さえ出れば、そう難しくはないのです。小さな声を、いかに奇麗に長く出せるか...これを見事にやってのけるのがタリス・スコラーズの面々でした。

 ホワイト独特のうねりのある節回しを楽しみ、シェッパードの開放的な音楽でプログラムを締めくくり、アンコールは、この声楽アンサンブルの名前にもなっているタリスの「O nata lux de lumine」。実に静かで神秘的な曲でおわりました。昔、タリスの40声部のモテット(supem in alium)が聴きたくて、ケンブリッジ・キングスカレッジ合唱団のLP(CDではありません)をイギリスから取り寄せてもらって(2枚組みで8000円しました)、そこに、この曲も入っていました。そんなことを思い出しながら、帰途につきました。
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