新星日本交響楽団第209回定期演奏会


日時:平成11年6月15日(火)午後7時〜
場所:サントリーホール
出演:寺谷千枝子(メゾ・ソプラノ)
   新星日響合唱団(女声合唱)
   練馬児童合唱団/世田谷ジュニア合唱団(児童合唱)
   新星日本交響楽団(管弦楽)
   オンドレイ・レナルド(指揮)
曲目:マーラー/交響曲第3番ニ短調


 新星日本交響楽団は、昨年のマーガ指揮のブル5がすばらしかったので、機会があれば、また聴いてみたいと思ってました。来年の2月に再びマーガが指揮台に立ち、ブル8をやるので、これは必ず聴きにいきますが、その前に「レナルトのマーラー3番は凄かった」という情報に接したので、サントリーホールに足を運びました。

 この日はP席を合唱団席にしていることを割り引いても、客席はほぼ満席。以前のブル5のときに、「なんでこんな良い演奏なのに客が入らないのか」と残念な思いをしたので、その点は一安心でした。

 演奏ですが、実に疵が少ないことが一つ。金管のひっくり返りや音の濁りは驚くほど少なかったです。それにオーケストラが良く鳴っていました。第1楽章の最後あたりはすばらしかったです。トロンボーンのソロも見事でした。もちろん、音楽の流れが良かったこと、そしてオケのメンバーの熱意がビンビンと客席に伝わってきました。

 どの楽章もすばらしかったのですが、特に後半の4−5−6が良かった。第6楽章は、それまでの長い長い音楽の旅の到達点のような、実に穏やかな、平安の世界を作っていきました。9番の第4楽章も弦がたっぷりと歌うのですが、あれは死に向かった音楽。この3番のフィナーレは、すべてが夢。「夏の朝の夢」なのです。

 だから、この曲には熱狂的なブラーボは、あまり似合わない。この日のように、大河のように果てることのない拍手の流れが、演奏の素晴らしさを如実にあらわしていたと言えるでしょう。

 私事ながら、この日のすばらしい「夏の朝の夢」を聴き、「ああ。今自分が苦しめられている仕事も、『夏の朝の夢』のように解決できれば...。しかし、それは出来過ぎだよな(苦笑)」などと思っていたら、驚いたことにそれが実現してしまったということもありまして、なおさら印象に残る演奏会になりました。
======================= 1999-06-20 (Sun) 20:55:44 ====================


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