東京交響楽団第459回定期演奏会「天上のハーモニー」


日時:平成11年5月29日(土)午後6時〜
場所:サントリーホール
出演:東京交響楽団(管弦楽)
    井上道義(指揮)
曲目:ペルト/弦楽合奏のための「三聖唱」
    ブルックナー/交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)


 N響のC定期を聴いて、その足でサントリーホールに移動です。ダブルヘッダーといっても、N響はオール・モーツァルトプロで、そう重いプログラムではありませんでしたし、前半にモーツァルト、後半にブルックナーというのはよくあるパターンですから(笑)。

 最初のアルヴォ・ペルトの「三聖唱」は、弦楽合奏の曲ですが、まさにペルト節という感じの曲。以前、ハインリヒ・シュッツ合唱団の演奏でヨハネ受難曲を聴きましたが、その雰囲気と同じ、神秘的な美しさを醸し出していました。

 休憩なしで、管と打楽器のセクションが入り、井上さんがステージに。静まり返ったホールに、静々と低弦の刻みと木管の掛け合い。ブル8の最初は何回聴いても緊張します。

 どんな振り方をするか見たかったのでP席をとりましたが、井上さんの振り方は、予想の通り、実に情熱的。オケを煽りたてるようにしていました。昨年末の高関/NJPのブル8が、隅々まで温かな血が流れる演奏だったとすれば、今回の演奏は「下手に触ると火傷するぜ」みたいなブルックナーでした。ブルックナーを聴いていて「井上さんのマーラーチクルスは、きっと良い演奏になる。」と感じた次第で・・・。

 特に8番の中でも大好きな第4楽章の中ほど、ティンパニの強打に乗ってクレッシェンドしながら上昇音階をならしていく部分は、久々に体が熱くなって、拳を握りしめてしまいました。これでハース版だったらもっとうれしかったのですが、それは好みの問題ですし、ぜいたくというものでしょう。

 最後のミレドも早過ぎず、わざとらしいルバートもなく、この大曲の締めくくりにふさわしい締めくくりでした。拍手もフライングはなく、余韻を堪能することができました。約80分にわたり、オケをおもいっきりドライブしてくれた井上さん、そして、これに応えてエネルギー大爆発の演奏を繰り広げてくれた東京交響楽団に大感謝です。疲れた体には、こういう力強い音楽が何よりの栄養剤です。
======================= 1999/06/20(Sun) 20:53:21 ====================


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