東京カンタート’99 オープニング・コンサート


日時:平成11年5月9日(日)午後4時〜
場所:すみだトリフォニーホール大ホール
出演・曲目(第1部のみ)
花(瀧廉太郎)/美しき天然/七里ヶ浜の哀歌(三宅榛名編曲)/すみれの花咲く頃(松平頼暁編曲)
 合唱団るふらん(合唱)/三宅榛名(ピアノ)/二胡(程農化)
 栗山文昭(指揮)

山田耕作による五つの歌(三善晃編曲)より
  この道/待ちぼうけ/ペチカ
  女声合唱団木声会(合唱)/内美有紀子(ピアノ)
  横山琢哉(指揮)

日本叙情歌曲集(林光編曲)より
 叱られて/箱根八里/ゴンドラの歌
 アンサンブル きなりね・風音(合唱)/須永真美(ピアノ)
 片山みゆき(指揮)

無伴奏女声合唱のための 愛唱歌抄T(鈴木輝昭編曲)より
 早春賦/夏は来ぬ/赤とんぼ
 Luna Voce(合唱)/粕谷宏美(指揮)

無伴奏合唱のための日本名歌集 ノスタルジア(信長貴富編曲)より
村の鍛冶屋/鉾をおさめて/みかんの花咲く丘
 合唱団ひぐらし(合唱)/野本立人(指揮)

Prayer of St.Francis(R.Pote)/Ave Maria(Jaakko Mantyjarvi)
Taalla Pohjantahden alla(Petri Pacius)/Suomen laulu(Frederic Pacius)
Tyonsa Kumpasellaki(Jean Siberius)/Suden synty(Joha Holma)
Pseudo yaik(Jaakko Mantyjarvi)
 シベリウス音楽高校合唱団(合唱)
 Jeremias Ijas/Marion Melnik/Milya Paasonen(独唱)
 Ilmo Riihimaki/Jeremias Ijas(ピアノ)
 Marujukka Riihimaki(指揮)


 この日は第1部・第2部があったのですが、時間の関係で第2部は聴けませんでした。全部で2時間くらいだろうと思って、家で夕飯を食べると言って出てきてしまったのです。ドタキャンすると、我が家のフリッカに怒られるので(・・;)。
 ですから、一番聴きたかった「萬歳流し」(まだ門付できる)も、大学時代の私の持ち歌だった清水脩の「最上川舟歌」も、OMPの「さくら」もあきらめました(涙)。しかし、しかしです。前半だけでもなかなか中身の濃いコンサートで楽しめました。

 最初に、栗山先生の指揮で、るふらんが「花」を歌いました。この日のサブタイトルが「編曲は再創造〜「花」百年によせて」ということで、まずはオーソドックスな「花」から始まったというわけです。これが実に丁寧な作りで感心しました。しかも三宅榛名さんが伴奏という豪華版。

 その後も、曲をみればわかるように、もともとは、どれも著名な日本の名曲。それを、いろいろな作曲家が編曲したものが歌われていきますから、退屈しません。それでも、中には編曲が一人よがりのようなものもあって、多少首をかしげたくなるようなものもありましたが...。

 特に良かったのは、信長さんの「ノスタルジア」から3曲を歌った「ひぐらし」でした。編曲のよさもあるのでしょうが、非常によく声が出ていて、みかんの花咲く丘などは、聞き惚れてしまいました。この合唱団にはブラーボが飛んでいましたが、決して身内びいきではなかったと思います。  そして、久々に衝撃だったのは、ゲストステージに登場したシベリウス音楽高校合唱団の歌声。女声パートは民族衣装、男声パートはブラックスーツで出てきた男声8人くらい、女声16人くらいの合唱団でしたが、声の響きが凄い。ヘルシンキ大学の男声合唱団やエリクソン率いるオルフェイ・ドレンガルも凄かったですが、24人くらいの人数で、ホール内に倍音がビンビン響いている。声は非常にナチュラルで細工がまったくなく、変なビブラートがないので、真っ直ぐにピーンと響きます。

 プログラムの曲目と変更があるというアナウンスがあったのですが、まったく聴き取れず、何なのかと思ったら、何とシベリウスの「二人ともに仕事がある(島の火)」を歌ってくれました。この曲は、もともと「6つの歌」という男声合唱曲の1曲で、混声版もあるとは聴いていましたが、まさかここで聴けるとは...。今年の秋に6つの歌を久々に歌うので、非常にうれしかったです。休憩になったときに、1階ロビーにダッシュして、CDをすぐゲットしたのはいうまでもありません。

 こういうわけで、今日のオープニングコンサートは前半だけで涙を飲みましたが、来週の日曜日のクロージングコンサートのプログラムがまた凄い。コダーイの「くじゃくは飛んだ」「聖イシュトヴァーン王への歌」「夕べの歌」という懐かしさで胸がいっぱいになるような曲。プーランクの「黒いマリアへの連祷」「小さな声」は、テレーズ・ファレ・フィズィオ指揮のガブリエル・フォーレ合唱団の名盤(トマジの「12のコルシカの歌」を歌った合唱団)がある。そしてタリスの「Spem in alium」。 なんとかやりくりして40声部を一度生で聴いてみたいと思ってます。
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