マリア・グレギーナ リサイタル(1)


日時:1999年4月24日(土)午後6時〜
場所:サントリーホール
出演:マリア・グレギーナ(ソプラノ)   イヴァリー・イリア(ピアノ)
曲目:グリンカ歌曲集より
    貧しい歌手/ああ、前からわかっていたら/あなたの悩みを聞かせないで/ひばり/あなたと一緒ならどんなにか素晴らしい/
    ヴェネツィアの夜/素晴らしいときを覚えている/恋の炎燃えて/舟歌/無駄に誘いをかけないで/イネジリアよ、私はここに
   ドニゼッティ
    恋人/愛と死/糸巻/私は家を建てたい
   ベッリーニ
    私のフィルレの悲しげな姿/私の美しい偶像に誓って/マリンコニア、優しいニンフ/捨てられた我が身
   ロッシーニ
    ヴェネツィアの競艇/亡命者
   (アンコール)
   ロッシーニ/ボレロ
   プッチーニ/「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」
   プッチーニ/「トスカ」より「歌に生き、恋に生き」
   カッチーニ/「アヴェ・マリア」
 今回のグレギーナは、ブルーの大きな飾り袖のついた衣装。これを実にうまく使っていました。袖で肩の部分を覆ってしまうと、全く肌の露出のない、敬虔な尼僧のような姿になります。切々と祈るように訴えかける曲は、そんなスタイル。逆に、両手を大きく広げると、グラマラスな姿が。開放的な曲はそのスタイルと、うまく使い分けていました。
 最初のグリンカは、前回のリサイタルでも歌われた曲がありましたが、同じロシア歌曲でもチャイコフスキーとはまた違ったほの暗い美しさをたたえていました。
 後半のイタリアものは、METやサントリーのホールオペラで見せてくれた、パワフルなグレギーナを堪能させてくれました。
 アンコールも、ほぼ定番という感じですが、トスカは何度聴いても、あのメトの来日公演を思い出してしまいます。あのグレギーナ/パヴァロッティ/モリスという素晴らしいキャストでの舞台、おそらく二度と見ることはできないでしょうが...あの真っ暗なNHKホールに響いた彼女の歌声、素晴らしかった。
 そして、カッチーニのアヴェ・マリア。実に単純な節回しでありながら、奥の深い曲です。私もグレギーナをまねて、アンコールで一度歌ってみましたが、技巧でごまかす曲ではないので、歌い手の表現力・声がもろに出てしまう難曲でありました。

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