日時:平成11年4月21日(水)午後7時〜
場所:サントリーホール
出演:東京都交響楽団(管弦楽)
ジュリエット・ユレル(フルート)
ジャン・フルネ(指揮)
曲目:ボワエルディユー/歌劇「白衣の貴婦人」序曲
イベール/フルート協奏曲
(ソロ・アンコール)ドビュッシー/シリンクス
ブラームス/交響曲第2番ニ長調作品73
フォーレの「レクイエム」の日は売り切れだったそうですが、この日は当日券がかなりありました。しかし最終的には8割以上の席が埋まっていました。
最初のボワエルデューの「白衣の貴婦人」序曲は、いかにも古典的な「オペラの序曲」という感じの曲。曲自体の面白さはありませんでしたが、実に柔らかい、整った音色を聴かせてくれました。コンサートの入り口としては実によい曲だったと思います。
イベールのフルート協奏曲は、実にしゃれた曲。第1楽章を聴いて、えらく技術を要する曲だなぁと思ったら、この曲はマルセル・モイーズのために作曲されたそうで、だったらこのくらいは軽いのだろうなと思った次第でした。
ソロ・アンコールは、多分バッハの無伴奏フルートソナタかこの曲かと思っていました。水を打ったように静まり返るサントリーホール。神秘的なフルートの音色が静かに漂う一瞬を堪能しました。
後半のブラームスの2番ですが、こんな素晴らしい演奏になるとは!おそらく滑らかな音楽になるだろうと予想していましたが、決して「滑らか」一辺倒ではなく、バシッと決めるところは鋭い音を響かせていました。
特にホルンの美しさには感動しました。とても以前の都響とは思えない。ヨーロッパのプレイヤーが、都響のぬいぐるみ着てるのではないかと思ったほどでした。
弦も、ギコギコさせずにレガートでたーっぷりと柔らかくうたってきかせてくれたり、一転して激しいトゥッティが鳴り響いたり・・・。
また、特筆すべきはテンポの確かさです。第2楽章とかは、往々にして引きずるようなわけの判らない演奏になってしまうことがあるのですが、きっちりとテンポを維持し、普段金管の陰に隠れてしまうような弦の旋律をきっちりと弾かせたり、なかなかのものでした。
コンサートで「よかった〜」と感じることはありますが、その理由はさまざまです。昨年の朝比奈/大フィルのブル5であれば、圧倒的なまでのフィナーレの充実感でしたし、今年のミスターS/N響定期であれば、徹底的に分析され用意された「仕込み」の面白さでした。
今回のフルネの演奏会は、これらとは違った、「思わず微笑んでしまい、誰にでも優しくしてあげたくなるような暖かさ」に包まれたものでした。
最後のところで、まちきれなくて拍手をしていた人が一人いたようですが、普段なら「くそ〜余韻をぶち壊しやがって」とキレて、雪崩式DDTの一発もお見舞いしてやるところですが(ヲイ(笑))、今回は「ウンウン、その気持ち判る。こんなに素晴らしい演奏だったんだから、許しちゃう。」という気持ちにさせてくれる魔力をもった演奏だったのです。
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