ウィーン・フィル・ウィーク・イン・ジャパン1999 Aプロ


日時:平成11年3月16日(火)午後7時〜
場所:サントリーホール
出演:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)
   リッカルド・ムーティ(指揮)
曲目:シューマン/交響曲第2番ハ長調作品61
   ショスタコーヴィッチ/交響曲第5番ニ短調作品47
   (アンコール)
   ヨハン・シュトラウス2世/すみれポルカ
   ヨハン・シュトラウス1世/シュペアル・ガロップ


 不安定な天候が続いていた東京も、今日の午後は快晴で、しかも暖かい。まるで、昨年ウィーンを訪れたときの3日目に、公園の前のテラスで食事をしていたときのような気分です。ウィーン・フィルの来日にあわせて、春が訪れたようで、なんとなく嬉しくなってしまいました。午後4時くらいからもう心はサントリーホール(笑)。

 さて、振りかえってみると、複数の曲のあるプログラムでウィーン・フィルを聴くのは、ベームとの2回目の来日のとき以来です。サントリーで聴くようになってからは、ブルックナーの8番、マーラーの9番という大曲だったし、ムジークフェラインでは「マタイ」だったし。しかも、シューマンとショスタコという、あまり聴くことができなかったプログラムで、どんなふうにこの曲を料理するのか、実に楽しみでした。

 なお、今回はサントリーホールが主催ということで、プログラム冊子は、他のサントリーホール主催公演と同じ小型のものが無料で配布されました。高くてかさばるプログラムを買うのも、まぁ、楽しいのですが、なけりゃないで、すっきりしてていいです。

 この日のコンサートマスターはキュッヒルさん。隣はホーネック氏。フルートにはシュルツさんがいました。ヘグナーさんは今回は留守番隊(笑)だそうで。

 実は今まで気がつかなかったのですが、最初のチューニング、普通はオーボエにあわせるのですが、ウィーン・フィルではキュッヒルさんのヴァイオリンにあわせていました。これは「あれっ」と思いました。

 まずは、シューマンの交響曲第2番。昨年の11月にサヴァリッシュがN響でシューマンチクルスをやったときに聴いた曲です。最初のところは何となくふわーっと入っていって、あれあれと思ったのですが、後はほとばしる清流という感じで曲が溢れていきました。第3楽章がまたしみじみと語るような演奏でよかった。それにしても、なんと瑞々しい響き。やはりウィーン・フィルは弦が主役のオーケストラです。

 休憩時間には、大学のグリークラブ時代の恩師とコーヒーを飲みながら歓談。この方はシューマンが好きで、昨年の新日本フィルの「ファウストからの情景」や、さかのぼると、前回のミスターSのN響でのシューマンの4番にも来ていた。前半の演奏の話と、私の「悪巧み」の話で、しばし盛り上がる。

 後半はショスタコの5番。こちらは、前回ハイティンクで聴いたマーラーの9番の第3楽章のときのことを思い出した。ああいう表向きドシャメシャな曲を下手に弾くと、本当に安っぽい音楽になってしまうが、ウィーン・フィルは、なんというか、軽々とこなしているという感じ。

 随所に出てくるソロがまたいい。第1楽章だとシュルツさんのフルート、第2楽章だとキュッヒルさんのヴァイオリン。リング・アンサンブルとは全く違った顔を楽しませてくれた。

 背筋がぞくぞくしたのは第3楽章。一転して弱音の連続で、なつかしのブラ1の第4楽章のピチカートの部分を思い出した。途中、異音がして、別の意味でぞくぞくしたが(^_^;)、大事に至らずによかった(気持ち的にも、都響の件で耐性ができていたのかな(笑))。

 全体を通じて、「ウィーン・フィルを聴いた」と納得できる演奏だった。アンコールは、Cプロのカット・ペースト(笑)。ショスタコのあとにポルカってのは、ちょっとと思ったが、ウィーン・フィル本体でポルカを聴けるチャンスなんてそうそうないから、文句を言ってはいかんな。でも個人的には、24年前にタイム・スリップして、「運命の力」序曲なんかでてきたら、感涙にむせんでいたかも(笑)。

 次は、2日後にCプロ。これまた24年ぶりにシュトラウス・ファミリーの作品集である。なお、Cプロの後半は、サントリーホール前のカラヤン広場で大画面テレビで同時放映されるので、来てみるといいかも。もしかしたら、最後は手拍子大会になるかもしれないし。
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