NHK交響楽団定期演奏会(99年2月Cプロ2日目)


日 時:平成11年2月27日(土)午後2時〜
場 所:NHKホール
出 演:加藤知子(ヴァイオリン)
    NHK交響楽団(管弦楽)
    エフゲーニ・スヴェトラーノフ(指揮)
曲 目:チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
    スヴェトラーノフ/詩曲〜ダヴィト・オイストラフの想い出に
    (休憩)
    グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
    ムソルグスキー(リムスキー・コルサコフ)/序奏とポロネーズ〜歌劇「ボリス・ゴドノフ」より
    リムスキー・コルサコフ/スペイン奇想曲
    ボロディン/ダッタン人の踊り〜歌劇「イーゴリ公」より


 前回スヴェトラーノフの指揮で聴いたのはオール・チャイコフスキープロでしたが、今回もロシアもの、それも小品を集めた、N響定期にはちょいと珍しいプログラムでした。

 最初の「ロメオとジュリエット」から、実に歯切れよく、歌うところはたっぷりと歌う充実した演奏。スヴェトラーノフの指揮は、動きが小さく、余分な動作は全くありません。オケが朗々と歌っているところでも、胸の前あたりで小さく拍子を刻んでいるという感じ。しかし、いざというところではグワーッと引っ張るため、オケからは「フォルテを超えたフォルテ」が出てきます。レスポンスも非常にいい。最初から非常にノッた演奏を聴かせてくれました。

 2曲目の詩曲。スヴェトラーノフの自作(1975年)で、ヴァイオリンのソロが入ります。
 この曲には参りました。こんなに悲しく、切なく、美しく、心を揺さぶられるメロディーを聴いたのは初めてです。前半の、ヴァイオリンのソロと、オケの弦の奏でる旋律の絡み合いが、もう...。ヴァイオリンのカデンツァもすばらしかったし、途中のクライマックスのところの金管の響きもよかったけど。前日、仕事で、えらく精神的に消耗させられていたこともあってか、涙があふれてきて、どうしようもありませんでした。「よしよし」と優しく抱かれて思いっきり泣いているような時間を過ごしました。幸い、3階のレフト側の一番前の隅の席だったので、他のお客さんがほとんど視線に入らなかったのも、よかったかもしれません。曲が終わったころには、気持ちもすっきりとしていました。なんとすばらしい癒しのひとときだったことか...。

 後半は、にぎやかな曲が4曲。
 まず、グリンカのルスランとリュドミーラ序曲。あまりにも知られている曲で、ときには、やたら速いテンポで演奏されること(まるで曲芸のように)に重きを置かれることもありますが、スヴェトラーノフの指揮は、テンポをきっちりと刻み、決して無意味に走ったり間延びしたりすることはありませんでした。

 短い曲ですが、すばらしい演奏でブラーボの嵐。それに背を向けたまま(^_^;) 2曲目、3曲目へ。スヴェトラーノフの指揮も、だんだん大きな動きになっていき、それにつれてオケの演奏も熱く熱くなっていきます。最後の「ダッタン人の踊り」は、例の、オーボエ、そして弦の奏でる有名な旋律の美しさ、そしてにぎやかな大団円へ。客席は大喜びです。

 全部の曲が終了し、オケのメンバーがスヴェトラーノフに拍手を送り、スヴェトラーノフはガッツポーズ(笑)でオケに応える。こっちまで嬉しくなってしまいます。今日が定期の最終日ということで、大きな花束が贈られましたが、カードがそえられていました。果たして、あの中身は...。

 今日はBS見てるだけにしようかとも思ったのですが、思いきって足を運んで、本当によかった。
暗い気持ちは涙で洗い流して、エネルギッシュな演奏で活力をもらいました。
======================= 1999-02-27 (Sat) 20:16:51 ====================