N響オーチャード定期(1998〜99シーズン第3回)


日 時:平成11年1月31日(日)午後3時〜
場 所:オーチャードホール
出 演:ギャリック・オールソン(ピアノ)
    NHK交響楽団(管弦楽)
    スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
曲 目:ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
    ショパン/アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調 作品22
        /ドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」による変奏曲変ロ長調 作品2
    ストラヴィンスキー/舞踊組曲「火の鳥」(1919年版)
    (アンコール)
    バッハ/管弦楽組曲第3番より「アリア」


 日曜の午後3時という実にゆったりとした時間に始まったコンサートでした。 最初の「ハイドン・バリエーション」は非常に柔らかい、ビロードのような音色を楽しむことができました。かなり速いテンポで駆け抜けてしまったという感じはありましたが...。
 中盤のショパン2曲は、あくまでピアノが主役。オーケストラは飾りみたいな曲でした。それだけにピアノに注目ということなのですが、ギャリック・オールソンのピアノはなかなかよかったです。実に指がよく回転していて、ショパンらしい技巧をたっぷりと楽しませてくれました。
 最後はストラヴィンスキー。19年版の組曲を聴くのは、ベーム/ウィーン・フィル以来です。こういう曲になると、ミスターSは実にオーソドックスな演奏をします。前回の来日のときにも、シューマンの4番やチャイ5で度肝を抜いて、春の祭典ではごくごく普通の演奏でした。そのときと同じでした。前回のサヴァリッシュのときにはアンコールがあったので、今日もあるかと思ったら...ありました。ミスターSが静かに棒を下ろすと、弦楽の美しい響き。バッハのアリアでした。アンコールだと、全員で派手に鳴らすという方向に行くと思っていたのですが、さすがミスターS。管はお休みで弦だけで静かに終わるという反骨精神(笑)。これがまた美しいから、こたえられませんでした。
  しかし、アリアを聴くと、つい「追悼」を連想してしまい、「誰か死んじゃったみたいだなあ」などと心の中で思って苦笑していたのですが、まさに、この1月31日の午後4時過ぎに、天に召された人がいました。その事実がわかったのは、翌日(1日)の夕方だったのですが...あとから思い返して、なんということだろうと...。
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