ウィーン・リング・アンサンブル・ニューイヤーコンサート


日時:1999年1月10日(日)午後3時〜
場所:大宮ソニックシティ大ホール
出演:ウィーン・リング・アンサンブル(メンバーは昨年と同じ)
曲目:オール・ヨハン・シュトラウスII世作品
    「こうもり」序曲/アンネン・ポルカ/ワルツ「レモンの花咲くころ」/常動曲/ワルツ「ウィーンの森の物語」
    トリッチ・トラッチ・ポルカ/ワルツ「春の声」/エジプト行進曲/ワルツ「南国のばら」/新ピチカート・ポルカ
    「騎士パスマン」よりチャールダーシュ/ポルカ「狩りにて」/ワルツ「美しく青きドナウ」/ラデツキー行進曲

 98年は2月の来日で、ニューイヤーコンサートではなかったため、「青きドナウ」も「ラデッキー」もなく、今一つ盛り上がりに欠けたように感じたのですが、今年は「お約束」がちゃんとありました。こうでなくちゃ(笑)。
 大宮のソニックシティホールは初めて行きましたが、クロークがない。コインロッカーも少ない。せめて、コインロッカーくらいはもう少し置いてほしいです。音は、昨年聴いたリリアのメインホールよりは良かったような気がします。
 さて、演奏。  おなじみのメンバーが登場。最初は「こうもり」序曲。最初のはじけるような「ジャン!ジャン!ジャン!」・・・え?・・・曲が違うぞ。いつのまにか「ハッピーバースデー TO YOU!」なんじゃこりゃ。あっけにとられているのは、客席とステージの一人。クラリネットのシュミードル。シュルツ氏が、シュミードルを指し示す。そうか。今日はシュミードルの誕生日なんだ。事態を察した客席から暖かい拍手。シュミードルがステージ中央に歩みでて客席に会釈。そしてキュッヒルさんと握手。  実に楽しい雰囲気でコンサートが始まりました。
 あとは例年同様、まさにウィーンの調べを堪能させてくれました。99年は、全部ヨハン・シュトラウス二世の名曲で、初めての曲はなかったのですが、特に感じたのは弦の素晴らしさです。イーベラー、ボッシュがワルツの1拍目、ザイフェルト、コルが2・3拍目を刻むというのが基本ですが、この2・3拍 目が実に絶妙。微妙にゆれながら、アイコンタクトをとりながらアンサンブルは決して崩さない。そのうえで、キュッヒルさんのつややかなヴァイオリンの音色が、甘いメロディーを奏で、ときおり管のセクションが名人芸を聴かせてくれるのだから、理屈抜きに楽しめてしまう。
 エジプト行進曲のギャグも定番。ほとんど水戸黄門の世界。「狩りにて」では、鉄砲こそなかったものの、チロルハットを小道具にステージを走り回ったり、なかなか笑わせてくれました。
 当然最後は、青きドナウとラデツキーでお開き。
日時:1999年1月16日(土)午後6時〜
場所:サントリーホール
出演:ウィーン・リング・アンサンブル(メンバーは昨年と同じ)
曲目:1月10日と同じ

 99年は1月3日(横浜)を皮切りに16日まで主に東日本を中心にツアーを続け、16日が最終日。しかし、タフでないとウィーン・フィルのメンバーというのは務まりませんね。
 最初の「こうもり」序曲では若干アンサンブルが乱れ気味になるなど、さすがに疲れたかと思いましたが、中盤からは建て直し、後半の「春の声」あたりからは、「いつもの」自然体での名演を聴かせてくれました。
 99年の曲は、よく演奏されるものが多く、特に「南国のばら」は75年のベーム/ウィーン・フィルの来日公演で聴いた同曲を思い出させてくれました。

コンサート・レポート99目次に戻る