日本フィル第240回名曲コンサート1


日 時:平成10年12月27日(日)午後2時〜
場 所:サントリーホール
出 演:澤畑恵美(ソプラノ)    永井和子(アルト)
     錦織 健(テノール)    高橋啓三(バス)
     日本フィルハーモニー協会合唱団(合唱)
    井崎正浩(合唱指揮)
    日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
    広上淳一(指揮)
曲 目:モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調K.136
    ベートーヴェン/交響曲第九番ニ短調「合唱つき」作品125


 ここ数年はNJPで聴いてきた第九ですが、今年は日程の関係や、ちょいと雰囲気を変えてみようかということもあって、日本フィルを選びました。

 もともと第九、しかも日曜の午後ということもあって、家族連れのお客さんがかなり多かったのですが、演奏中の静けさは、五本の指に入るくらいの良好なものでした。楽章間のセキも少なくて...。

 今回は、東都生協ルートでチケットを手配したところ、前から5列目くらいのセンターという凄い席が回ってきて驚きました(笑)。  広上さんの指揮を見るのは(生も映像も含めて)初めてでしたが、凄く躍動的な振り方をする人ですね。ダニエル・オーレンほどではありませんが、結構飛んでました。

 最初のモーツァルトがまた軽やかでよかった。第九の前菜として、くどすぎず、かつ決して「時間を水増しするためのおまけ」でもなかった。

 メインの第九は、荘重というよりも肩の力を抜いた好演という印象でした。あんまり細かいところにはこだわって聴かなかったのですが、第4楽章のGott!のところのティンパニーのディミヌエンドは、朝比奈先生のときよりもきっちりやっていたので、ディミヌエンドすることの意味がはっきりとわかりました。そのあとの行進曲のところは、かなり速いテンポで入っていって、一瞬驚きましたが次第に落ち着いていくという流れでした。

 日本フィルを聴くのは、フルネの「幻想」に続いて2回目なのですが、前回も書いたとおり、客席との距離が近いオーケストラという感じです。パンフレット等をみると、聴衆(ひいては財源)確保のために凄く積極的な活動をしているようですが、それが良い方向に作用していると思われます。

 演奏中に、コンサートマスターの隣の、ちょんまげを落としたお侍さんのような頭をした人(^_^;)のヴァイオリンの弦が切れたのですが、例の、ヴァイオリンリレーを至近距離から見ることができて、「事故」をも楽しんでしまいました。

 ソリスト陣ですが、みな、パワー至上主義ではないため、逆に重唱の部分が非常に美しい。均衡のとれた人選だったと思います。そうそう。ソリストは第3楽章の前に入場してきたのですが、普通ここで起きる拍手が、この日は起きませんでした。そのため、音楽の流れが中断されず、凄く気持ちよかった。

 合唱は、ステージではなくP席に配置され、P席をほぼ埋めるくらいの人数が入っていました。座席の関係でしょうが、私の席のところにはあまり合唱の音圧は来ませんでした(頭の上を飛んでいってしまったか(笑))。2階正面あたりだと、ちょうどいいのかも...。

 ともあれ、新日本フィルは、ボッセさんのときを除いて、重厚な第九という感じでしたが、今回は躍動的な第九という感じで、また違う雰囲気を楽しむことができました。
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