東京都交響楽団第481回定期演奏会(12月Bシリーズ)


日 時:平成10年12月16日(水)午後6時30分〜
場 所:サントリーホール
出 演:奈良ゆみ /メリザンド    安陪恵美子/イニョルド    秋葉京子 /ジュヌヴィエーヴ
    鎌田直純 /ペレアス     大島幾雄 /ゴロー      志村文彦 /アルケル王
    島田啓介 /医師・羊飼
    二期会合唱団(合唱)
    東京都交響楽団(管弦楽)
    ジャン・フルネ(指揮)
曲 目:ドビュッシー/歌劇「ペレアスとメリザンド」(演奏会形式)


 著名なアリアがあるわけでもない。合唱の大スペクタクルがあるわけでもない。ただひたすら、ドビュッシーの管弦楽が流れつづける作品。そんな印象を抱きました。

 派手な演出(演奏会形式ですが)やスタンドプレーでどうなるものでもない。ともかく、楽譜の命ずるままに、丹念に音楽を奏でつづける。演奏するほうも大変でしょうが、聴く側としても、相当のエネルギーを要求されました。

 しかし、休憩を含めて約3時間、決して退屈はしませんでした。フルネの指揮に接するのは、昨年の日フィル以来で、このとき、たまたま、この「ペレアスとメリザンド」による交響曲(コンスタン編曲)を聴いていますが、フルネの曲作りは、このときもそうですが、じつに丹念で、隅々まで暖かな目が行き届いているという感じでした。

 この日は、演奏会形式での上演ということで、字幕がついたのですが、いわゆる「ト書き」も表示されていたので、歌のない部分でもどういう場面の描写なのか、プログラムをめくらなくても判ったので助かりました。

 歌手陣は、ゴローを歌った大島さんがなかなか良かったと思いました。ただ、全員、もう少しフランス語の発音はきれいにして欲しいなぁと思いました。もちろん、歌う場合などは「r」の発音は通常の会話の発音と変るという慣習があるのは判りますが、それは別としても、母音がもう少しフランス語らしく聞こえるといいなぁと感じました。

 それはそれとして...フルネはもう85歳なのですね。こうやって日本に来てくれて、滋味あふれる音楽を我々に楽しませてくれるとは、我々は何と幸せなことでしょうか。来年は都響とは4月にドビュッシーの「牧神」「夜想曲」とフォーレク(合唱は晋友会)、イベールのフルート協奏曲とブラ2などを聴かせてくれるようで、これまた楽しみです。
======================= 1998-12-23 (Wed) 22:43:27 ====================


コンサート・レポート98目次に戻る