東京都交響楽団第477回定期演奏会(10月A)


日 時:平成10年10月15日(木)午後7時〜
場 所:東京芸術劇場
出 演:竹澤恭子(ヴァイオリン)
    東京都交響楽団(管弦楽)
    サー・ネヴィル・マリナー(指揮)
曲 目:モーツァルト/交響曲第25番ト短調 K.183
        〃   /ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216
        〃   /交響曲第38番ニ長調 K.504「プラハ」
   (アンコール)
        〃   /歌劇「フィガロの結婚」序曲


 たとえば、お好みでは食べさせてくれなくて、お任せのコースの中で出てくるマグロの大トロが絶品という評判の鮨屋があるとする。ワクワクしながらマグロが出てくるのを待った。さぁ!出てきた。どれどれ。あれ?どうってことないじゃん。なんだよ〜。マグロが目当てだったのに...。

 え?まだ出るの?なに?コハダ? ひかりものはあんまり好きじゃないだよね〜(注:本当は大好きです(笑))...。どれ。え?なにこれ。旨いじゃない!まいったな〜。

 98年度Aシリーズ定期(前期)をたとえると、こんな感じです(笑)。最後の「予想外の大ホームランだったコハダ」は、今日のマリナーによる「オール・モーツァルト・プロ」。今一つだった「大トロ」は...。まぁいいや。幸い、今回は「追加」があって、そっちの「大トロ」はいい味でしたから。

 もちろん、マリナーの手腕は、もう20年以上前から聴いていたアカデミー室内管弦楽団で十分知っていました。ただ、私自身、あ〜んまりモーツァルトには目の色を変えるほどのこだわりがないもので、9月定期(ブルックナーの8番)で、事実上完結してました。しかし、今日のコンサートは、そんな偏見をさわやかにすっ飛ばしてくれました。

 最初の交響曲第25番から、オーケストラの音が活き活きとしてします。マリナーの指揮というのは、実に無駄のないものですが、非常に的確な指示を送っているようにみえました。

 2曲目のヴァイオリンコンチェルトは、独奏の竹澤さんの演奏がすばらしかった。清流があふれるような演奏でした。  ラストは「プラハ」。モーツァルトの交響曲で自分から聴くのは、クライバーが指揮した33番とリンツくらいですが、「プラハ」も堂々とした序奏があって、なかなかいい曲でした。

 こういうプログラムですから、客席も柔らかな拍手が続きました。すると、それにこたえてなんとアンコール。定期ではあまり見られない光景です(現にプラハが終わった時点でかなり帰った人もいました)。

 演奏されたのは、おなじみの「フィガロの結婚」の序曲。これもまた実に活き活きとした演奏で気持ちがいい。9月の定期でこの半分くらいのバイタリティでも出してくれればと僻みたくなるくらいでした(^_^;)。

 ま、でもいいものはいい。「おまけ」程度の気持ちで来た不届きな私にも心地よいひとときを与えてくれたマリナーと都響に感謝です。

 来月からは、私はB定期(サントリーホール)に異動。4月から通った芸術劇場の1階P列22番ともお別れです。ただし、3月のA定期(インバルのブルックナー「ロマンティック」(第1稿))はおさえてあります。
======================= 1998-10-15 (Thu) 23:44:05 ====================


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