NHK交響楽団10月C定期2日目


日 時:平成10年10月3日(土)午後2時〜
場 所:NHKホール
出 演:堀米ゆず子(Vn)・今井信子(Vla)
    NHK交響楽団(管弦楽)
    ヘルベルト・ブロムシュテッド(指揮)
曲 目:モーツァルト/協奏交響曲
    ブルックナー/交響曲第3番「ワーグナー」(ノヴァーク第1稿)


 N響を聴くのは、昨年9月のスヴェトラーノフ以来です。
 前半の協奏交響曲は、独奏のヴァイオリンとヴィオラの掛け合いが絶妙でありました。また、お二人とも、弾いていないときにも、かなり大きく体を動かしていて、オケとの対話を楽しんでいるかのようでした。

 独奏は、ヴァイオリンの音色が美しかったのは勿論ですが、ヴィオラの音色が、ちょっとほの暗くてまたいいんです。第二楽章の短調の旋律など、しみじみと聴き惚れてしまいました。

 休憩を挟んで、後半はブルックナーの3番。昨年の12月に朝比奈/新日本フィルで聴いたときは、第3稿での演奏でしたが、今回は第1稿を使うというので、この点も楽しみでした。

 3番は、インバルの第1稿でのCDと、チェリ、ヴァント、ベーム、朝比奈あたりの第3稿(だったとおもう)のCDは持っているものの、8番ほど聴き込んでいなかったので、稿の違いというのは、それほど鮮烈には感じませんでした。特に、第1稿ではワーグナーの作品からの引用が数多くなされていると聞いてはいましたが、はっきりそれと判る部分は、あまり・・・。

 3番自体、後半の交響曲に比べて、まだ未成熟な印象を受けるのですが、第1稿というのは、本当に「若い」作品ですね。5番とか8番のような昇りつめる達成感はないし、そうかといって、4番や7番のような物凄い緩徐楽章を持っているわけではない。最後も、バサッと、途中で切り落としたような終わりかただし。でも、あの唐突さが、それはそれで魅力だったりするのです(^_^)。

 演奏ですが、ブロムシュテッドのテンポはちょっと速すぎたのではと思います。特に第3・第4楽章。第4楽章などは、ただでさえ、弦には酷なのに、あのテンポでは拷問に等しい(^_^;)。この日も私は自由席で聴いていたのですが、ヴィオラ・第2ヴァイオリンあたりの弓の動きを見ていると、「よくもまあ、あんなに弾けるものだ。」と感じるほどでした。

 まして、第二楽章の途中で、 弦の後ろの方の奏者だけが弾くという場所があったのですが、ブロムシュテッドのときは、ヴァイオリンを指揮者を挟んで左右に配置します。ですから、ステージの端と端で弾くということになりますが、あの広いNHKホールですから、相手パートの音が聞こえず、弾き辛かったようです。

 まあ、3番というのは、演奏が困難である割に「ありがたさ」が高くないということで、あまりとりあげられないようで、まして第1稿です。定期のプログラムにかけて貰えただけで、私としては充分でした。N響だから、あそこまで堪えられたのであって、他のオケでは崩壊していたかも。

======================= with mobile gear(MC-MK12) ====================


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