アフィニス夏の音楽祭


日 時:平成10年8月19日(水)午後7時〜
場 所:すみだトリフォニー大ホール
出 演:アフィニス夏の音楽祭オーケストラ
    朝比奈隆(指揮)
曲 目:コープランド/市民のためのファンファーレ
    ワーグナー/ジークフリート牧歌
    ブラームス/交響曲第1番ハ短調


 音楽祭のための寄せ集めオケといっても、日本人は各オケの若手の俊英が集まっていますし、要所要所に講師陣として大物を配置しています。ホルンに至っては、シカゴ交響楽団のクレベンジャー氏や、もとN響の千葉馨氏という豪華メンバーでした。

 最初のファンファーレは、金管と打楽器の編成。かなり派手な曲でした。この曲は金聖響さんという人が指揮をしました。

 そして前半のジークフリート牧歌。指揮台に椅子が置かれていて、朝比奈先生は座って指揮をされました。以前、インタビューで「立っているのは指揮者にとって仕事。座って振るくらいなら引退する。」とおっしゃられていたのを思いだし、演奏の内容よりも、そのことが気になってしまいました。

 休憩の間に椅子は片づけられたのをみて、ほっとしました。

 後半はブラームスの交響曲第1番。一昨年のブラームスチクルスで聴いて以来です。例のごとく、かなりゆっくりとしたテンポでしたが、ブラームスチクルスの時よりは、やや早く感じました。

 第二楽章後半のヴァイオリンのソロ。ブラ1を生で聴いたのは意外と少なくて、ベーム/VPO、カラヤン/BPO、朝比奈/都響と今回だけなのですが、こんなに瑞々しく、柔らかく歌うソロを聴いたのははじめてでした。スチュアート・ケイニンという、元サンフランシスコ交響楽団のコンサートマスターだった人だそうです。

 第四楽章の序奏の部分で、かなりの大波乱(^0^;)がありました。例のピチカートの部分の「つなぎ」の部分ですが、あれは棒がちょっと・・・幾つ振りなのか非常にあいまいで、奏者から見ても、仮に練習で打合せをしてあったとしても、「あれ、変えたのかな」と戸惑いを感じるような振り方に見えました。

 しかし、その危うい恐怖感から心地好い陶酔の世界に連れてきてくれたのが、クレベンジャーさんのホルンでした。

 あとは、一気呵成にフィナーレに向かって突き進んでいきます。最後のところに至っては、金管全開で、7月末のブルックナーの5番のコーダを思い出させてくれるほどでした。

 最後の数小節は、前回のチクルスと同様、テンポをぐっと落として、歌舞伎のキメのような感じ。最後の音が消えたときは、「終わりよければすべてよし」ではありませんが、大歓声につつまれました。

 プログラムに載っていたスケジュールを見る限り、そこそこ練習の時間はとれているようで、プロのオーケストラのメンバーで編成されているオケだったら、もう少し呼吸があってもいいんじゃないかなとも思いましたが・・・。そう甘いものじゃないのですかね。


======================= 1998-10-09 (Fri) 01:25:14 ====================


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