日 時:平成10年4月26日(日)午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:マリア・グレギーナ(Sop.)
イヴァリー・イリア(Pn.)
曲 目:ストラデッラ/主よ、御憐れみを
マルチェッロ/私を燃え立たせるその炎は
ジョルダーニ/いとしい人よ
ペルゴレージ/「悲しみの聖母」より「いとしい御子が見捨てられて」「輝かしい御子の受けた苦しみを」
ヴィヴァルディ/「マニフィカート」より「私の魂は救いの神によって」「端女の謙虚さに」
カッチーニ /アヴェ・マリア
ヘンデル /「アルチーナ」より「ああ、私の心である人よ」
/「テ・デウム」より「ああ、主よ」
/「サムソン」より「輝かしいセラフィムに」
グリンカ /むだな誘いをかけないで/ひばり/わたしはここだ、イネジリヤ
チャイコフスキー/聞かないで/死/かっこう
ラフマニノフ/メロディ/祈り/ああ、悲しまないで
シチェドリン/オペラ「愛だけではない」より「ヴァルヴァーラの歌とチャストゥーシカ」
(アンコール)
ラフマニノフ /春の洪水
グリンカ /いとしい人よ、思い出しておくれ
チャイコフスキー/昼の光が満ちようとも
プッチーニ /「マノン・レスコー」より「華やかに着飾っても」
〃 /「トスカ」より「歌に生き、恋に生き」
カッチーニ /アヴェ・マリア
ナブッコ−オペラ・フェスタと続いたサントリーホールのシリーズも、グレギーナのリサイタルが最後です。満席にはなりませんでしたが、8割近くの席は埋まっていました。
去年は黒髪をアップにしてきたのですが、今年はいきなり金髪のショートへヤーにチェンジしてきておりました。
前半は、やや古目の歌曲やアリア。カロ・ミオ・ベンとかがありましたが、総じて「へ〜こういうのもやるんだ。」という感じ。歌ものの基本のような曲も、けっしてお行儀良く歌うのではなく、グレギーナ節を聴かせてくれました。
特に良かったのはカッチーニの「アヴェ・マリア」。「Ave Maria.AMEN」という歌詞だけで、あれだけドラマチックな音楽を作るというのにはたまげました。歌う立場の人間にとって、実にいいヒントにもなりました。
後半はロシアの歌曲が中心でしたが、こちらのほうが歌いこなされているという感じがしました。なかでもチャイコフスキーの作品がとても良かった。
シチェドリンというのは、初めて聞く名前でしたが、現代のロシアの作曲家だそうです。無調で、かなりのテクニックを要する曲でした。
アンコールは最初の3曲がロシアもの。このあたりになると、一曲ごとに物凄い歓声が飛ぶという、熱狂的な雰囲気がサントリーホールを支配し、「誰にも止められない状態」になっていました(^_^)。
5曲目。あああ。マリアよ。おまえはまた俺を泣かせるのか(笑)。トスカの「歌に生き、恋に生き」。これでトスカの聴きどころはほぼ全部楽しませて貰ったということになります。
もう、聴衆、総立ち。舞台前に押し寄せてブラーヴァの嵐。大握手大会と化したのでした。こんな光景を見るのは、カラス&ステファノ、ベーム・VPOの来日公演以来です。
名残を惜しむ聴衆に、もう一曲プレゼントされたのが、前半で歌われた「アヴェ・マリア」。もう、もう、何も言うことはありません。
去年のホールオペラで、デッシーの代役として登場し、METで日本のファンを完全に捕まえたようです。エネルギーを浪費しないで、長く歌って欲しいものです。
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