サントリーホール オペラコンサート・シリーズ1998ホール・オペラ


日 時:平成10年4月15日(水)午後6時30分〜
場 所:サントリーホール
出 演:レナート・ブルソン(Br)    ・・・ナブッコ
    ファビオ・アルミリアート(Tn) ・・・イズマエーレ
    フェルッチオ・フルラネット(Bs)・・・ザッカリーア
    マリア・グレギーナ(Sop)   ・・・アビガイッレ
    エレーナ・ザレンバ(Ms)    ・・・フェネーナ
    カルロ・ストゥリウリ(Bs)   ・・・ベル神の大祭司
    上原正敏(Tn)         ・・・アブダッロ
    小濱妙美(Sop)        ・・・アンナ
    東京オペラシンガーズ(合唱)
    福森 湘(合唱指揮)
    東京交響楽団(管弦楽)
    ダニエル・オーレン(指揮)


 春のシリーズにはここ数年足を運んでいましたが、ホールオペラは初めて。

 オペラ・フェスタとグレギーナのリサイタルの券も買う関係で、オペラの方はB券に抑え、RA(ステージの真横)の席を買ったのですが、これが大正解!P席のすぐ前に、2階席とほぼ同じ高さのステージを組んだので、至近距離で歌っているというシーンが続出。オーレンのド派手な指揮もたっぷりと楽しみました。字幕も、位置的に見づらいかと思っていたのですが、全く支障がありませんでした。おまけに、最前列の2人ブロックの席だったから、まるでオペラハウスのボックス席で見ているような贅沢な気分を味わいました。

 オーレンは、相変わらず表情豊かというか、激しい指揮をします。ステージでも飛びまくります(笑)。

 いきなり、力強い合唱から入り、いや〜これは凄いなと思いました。ともかく、ナブッコは合唱が大活躍するのですが、東京オペラシンガーズってのは、すごく上手いですね。特に、「行け、我が思いよ」に至っては、もう何と言って良いか。力強さはもちろんですが、弱音の美しかったこと。最後の部分は、楽器の音が全部消えてから、しばーらくの間、ア・カペラで、しかもPPP(ったって、インターネットの接続じゃないですからね)で、ずーーっと伸ばしてたんです。信じられないくらい!思わず目を閉じて、余韻を味わいました。

 独唱陣は、年々粒ぞろいというか贅沢になっていきます。一昨年くらいまでは、ブルソンほか数名という感じだったのですが、去年はダニエラ・デッシーがキャンセルになってグレギーナが来て度肝を抜かれ、今年は、ちょっと線がほそいけど、テノールもアルミリアートがはいったし。

 ブルソンは、まさに円熟の妙ですね。派手なテノールの歌声も魅力的ですが、こういうビロードのようなバリトンも大好きです。

 グレギーナは、ファンなので、ある程度のことは許しちゃいます(笑)。たしかに、最高音部は、ちょっと音がやせるようなところもありましたし、パワー至上主義と言われるかもしれませんが、そのパワーが魅力なんです。METのときは、トスカとかサントウッツァとかといった苛められ役(^_^;)でしたが、今回は、最後に改心するとはいえ、アクの強いキャラクターだったので、随分イメージが違いました。衣装も「女王様系」だったし。

 フルラネットも朗々としたいい歌を聴かせてくれました。

 演出の善し悪しってのは、よく判りませんが、あまり凝りすぎず、音楽の邪魔になっていなかったので、よかったのではないかと思います。おっきな握りこぶしが出てきたり、ステージに金色の座布団が並べられたりしたときは、おもわず笑いそうになりましたが。バビロニア軍が攻め込んで神殿を占領したときだかに、ホールの壁に握りこぶしを描いた旗が広がった演出は、サウンド・オブ・ミュージックで、ナチスがトラップ家に旗を掲げたシーンを思い出させるものでした。

 東京交響楽団は、このシリーズではずっと聴いていますが、生きのいいオーケストラという印象です。今後も続けてほしいです。  プログラムに、取り上げてほしい演目等のアンケートが入っていました。ブルソンをじっくりと聴けるのはこのシリーズだけなので、バリトン主役のものをあれこれ考えていたのですが、スカラ座でとりあげた「マクベス」なんかはどうでしょうかね。 しかし、ウィーンでは「リエンツィ」、東京では「ナブッコ」と、合唱がブンブン歌いまくる派手系のプログラムが続いたので、若干疲れ気味。 来週の月曜日(20日)に、最後の公演があるんですね。
======================= 1998-04-17 (Fri) 01:23:22 ====================


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