日 時:平成9年10月8日(水)午後7時〜
場 所:紀尾井ホール
出 演:10月7日と同じ。
曲 目:中世カスティーリャの単旋律聖歌
枝の主日の聖歌:栄光と賛美とほまれとは
聖水曜日の朝課の第1レクツィオ:イェレミアの哀歌
朝課の終りに:我らのために苦しみを受けんとして来たり給いし主よ
ルネサンス時代のポルトガルの聖歌とポリフォニー
モラーゴ/しもべらよ、主をたたえよ
ロボ /マニフィカト
カルドーゾ/主よ、ヒソプもて我に注ぎ給え
ポルトガル王ジョアン4世/真実なる十字架
モラーゴ/救い主なるイエスよ
聖母マリア被昇天の日の祝日のミサ(グレゴリオ聖歌とパレストリーナの教皇マルケルスのミサ曲)
イントロイトゥス:全ての者よ、主に向かいて喜ばん(グレゴリオ聖歌)
キリエ (パレストリーナ)
グローリア ( 〃 )
グラドゥアーレ:真理と温和と正義によりて/アレルヤ(グレゴリオ聖歌)
オッフェルトリウム:マリアは天に昇らされ給いぬ(グレゴリオ聖歌)
サンクトゥス (パレストリーナ)
ベネディクトゥス( 〃 )
コンムニオ:マリアは最良の部分を自ら選び給いぬ(グレゴリオ聖歌)
アニュス・デイ(パレストリーナ)
パレストリーナのモテット
バビロンの川のほとりに
おお、慈悲深きイエス
スタバート・マーテル
(アンコール)
タリス/英語によるモテット(曲目不明)
中世イギリスの宗教曲?(「ベアタ・ヴィシェラ」ときこえた)
前半は、スペイン・ポルトガルの聖歌でした。今を去ること17年前、私が4年生のときの、大学の合唱団での定期演奏会に取り上げたのも、スペインのグレゴリオ聖歌(モザラベ聖歌)、ラス・ヴェルガスの手稿本、賢王アルフォンソの聖母マリア賛歌集、そしてモラレス、ゲレロ、ビクトリアのポリフォニーでした。
最初のカスティーリャの単旋律の聖歌は、いわゆるグレゴリオ聖歌のようなうねりはなく、実にシンプルなものでしたが、それがかえって心に響きました。二曲目の「イェレミアの哀歌」は、メンバーのうちの二人だけが歌う(しかも一人は、各節の最初のalephとかbethとかだけを歌うので、実質的にはソロといってよい)のですが、こういった単旋律の曲を一人で歌うというのも、なかなかいいものだと思いました。
多声部の聖歌とポリフォニーは、あまり各パートが独立した旋律を構成して絡み合うというよりも、ホモフォニックな響きで、中の数曲は、4パート×2という、二重合唱の形式になっていました。実に華やかな響きを堪能することができました。
後半は、パレストリーナの「教皇マルケルス(マルチェルス)のミサ」をベースに、聖母マリア被昇天の日の主日に歌われるグレゴリオ聖歌を組み合わせるというプログラムです。これまた、私が大学時代に経験したプログラミングで、うれしくなってしまいました(私のときは、演奏会がちょうど待降節の第4の主日にあたっていたので、「天よ、上よりしずくを滴らせよ」「みどり児生まれたまいぬ」「見よ、乙女が」などのグレゴリオ聖歌と、ブオナウグリオというイタリアの作曲家が作ったミサ曲を組み合わせ、さらにオルガン曲を入れたりしました。
教皇マルケルスのミサは、ケンブリッジのキングス・カレッジ合唱団が来日したときにたしか聴いたことがありましたが、華やかで、それでいて神秘的な響きは、何度聞いてもいいものです。
最後はパレストリーナのモテットを3曲。「バビロン」は、15年ほど前の来日公演でも聴きましたから、非常に懐かしかった。スタバト・マーテル(悲しみの聖母)は、堂々たる演奏で、曲が終わっても、聴衆が「しーん」と静まり返ったままで、指揮者のマーク・ブラウンがこちらを向くと同時に熱い拍手が沸き上がりました。 アンコールは、1曲目は「トマス・タリス」という名前は判ったのですが、知らない曲でした。ラテン語ではなく、英語のモテットでした。 2曲目は、やはり前回の来日公演で歌われた曲ですが、曲名がわからない。響きからして、かなり古い曲だと思いますが...。 12日は、ラッススのレクイエム(4声)、ヴィクトリアのレスポンソリウムなど、またまたすごい曲が目白押し。楽しみです。
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