日 時:平成9年10月7日(火)午後7時〜
場 所:紀尾井ホール
出 演:ポール・エスウッド (カウンターテナー)
ティモシー・ペンローズ ( 〃 )
ロビン・タイソン ( 〃 )
ジョゼフ・コーンウェル (テノール )
ジェームズ・グリフェット( 〃 )
イアン・パートリッジ ( 〃 )
スティーヴン・ロバーツ (バス)
エイドリアン・ピーコック(〃 )
デイヴィッド・ベヴァン (〃 )
マーク・ブラウン (指揮)
曲 目: ヨハンネス・オケゲム /レクイエム
/めでたし女王、あわれみ深きみ母
ジョスカン・デ・プレ /御身のみ、奇跡をなす者
/アヴェ・マリア
ピエール・ド・ラ・リュー /ミサ・クム・ユクンディタテより
サンクトゥス
ベネディクトゥス
アントワーヌ・ブリュメル/勝利得たる十字架
ジョスカン・デ・プレ /オケゲムの死を悼む挽歌「森のニンフ、泉の女神」
(アンコール)
トマス・タリス /テ・ルチス・アンテ・テルミヌム
今でこそ、タリス・スコラーズやヒリヤード・アンサンブルなどのヴォーカル・アンサンブルがポピュラーな存在となっていますが、私にとってはやはりプロ・カンティオーネ・アンティクヮ(以下「PCA」といいます。)がお手本です。9年ぶりの来日ということですが、私が前に聴いたのは、大学3年くらいのときですから、もう15年以上前のことになります。
このときは、たしか4人くらいで来日して、リュートが入った曲をやったりしました。また、宗教曲だけではなく、世俗曲や、レイブンスクロフトのパートソングなども歌うプログラムもあったのですが、今回は、すべて宗教曲。それも、オケゲムのレクイエム、パレストリーナのミサ曲、そしてラッススのレクイエムがそれぞれの柱になっているといえば、この手の音楽が好きな人は、よだれを流さんばかりになっていることでしょう。
ということで、私も全プログラムのチケットを買いました。
それと、大収穫だったのは、今回の演奏会場で、PCAが歌うために編集された楽譜が販売され、それを入手できたことでした。パレストリーナのミサ曲などは、ほかでも入手できるのですが、イギリスのパートソングやキャッチを収録した楽譜は、結構珍しいし、楽しめる曲もたくさん入っています。事前にDMがきていて、楽譜を販売することは知っていたので、少し早めに会場に行き、会場と同時に楽譜を売っているテーブルに直行し、ワンセット押えました。
初日は、15世紀の、オケゲム、ジョスカン・デ・プレといった、ポリフォニーのなかでも、ちょいと古くて、玄人うけする曲が並びました。15年前に来日したメンバー4人のうち、カウンターテノールのペンローズ、テノールのグリフェット、パートリッジの3人は変わっておらず、非常に懐かしかったです。
やはり一番聴き応えがあったのは、オケゲムのレクイエムでした。静かにひたひたと進んでいく曲ですが、途中で2声になったり、3声になったりしながら、各パートが絡むようして進んでいくさまは、思わずうなってしまう素晴らしい演奏でした。
PCAは、カウンターテナーはもちろんですが、テノールを歌うグリフェット、パートリッジの声が非常に魅力的です。そして今回テノールとして来日したコーンウェルの声も素晴らしいものでした。もちろん、テノールといっても、イタオペのテノールの声とはまったく異なり、余分なビブラートをとり、真っすぐな声(といっても歌うところはたっぷりと歌う)です。 私も、大学時代は、この系統の発声を学んでいたので、ほんとにいいなぁと聴きいってしまいました。
マーク・ブラウンの指揮は、軽くリズムを刻む程度で、余分な動きは一切なし。これだけの歌い手がそろっていれば、頭だしとテンポの目安だけあれば、あれこれと指揮者が動き回る必要などまったくありません。
ということで、15年前にタイムスリップできたような、素晴らしい演奏でした。
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