大阪フィルハーモニー交響楽団第36回東京定期演奏会


日 時:平成9年6月14日(土)午後6時30分〜
場 所:サントリーホール
出 演:独 唱 岡坊久美子(ソプラノ)      竹本 節子(アルト)
          林   誠(テノール)       田中  勉(バリトン)
     合 唱  大阪フィルハーモニー合唱団
     管弦楽 大阪フィルハーモニー交響楽団
     指 揮  朝比奈隆
曲 目:ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」


 大フィル創立50周年ということで、ロビーで記念誌、CD等が販売されていました。記念誌は、真四角で、ちょっと高価なプログラムといった感じ。CDは大フィルの海外での演奏を録音したもの等が収録されていました。

 さて、演奏ですが、非常に面白かった。「朝比奈隆ベートーヴェンの交響曲を語る」という本があって、そこでの第九のところをじっくりと精読してから演奏会に臨んだのですが、本の中で朝比奈先生が「ここはこういう風にやるべきだ」って言ってるところを、ことごとく実践していました。

 たとえば、第一楽章の中程で、一番盛り上がる部分のティンパニ。本の中では「ここはきちんと32分音符で書かれている通りに叩くべきであり、トレモロにしたりティンパニ2台でやるのは・・・」といっていますが、演奏もそのとおりでした。聴きなれたCDとかだと、ここは「ドロロロロロ」って聞こえるのですが、今回の演奏では「ドコドコドコドコ・・・」ときちんと刻んで聞こえました。

 あと、第3楽章の、ホルンのソロのあたりから、1枚もののLPだと丁度裏返すところ(笑)あたりは、あまりテンポを落とさず、さらーっと抜けるような感じでした。それから、第4楽章の冒頭、トランペットにフルートと同じ旋律を吹かせるようなことはすべきでないと書かれていたので、何の事かと思ったのですが、昔から聴きなれていた演奏が実は「お化粧」をしていて、素っぴんの音は違うんだというのが改めて確認できました。

 歓喜の歌の主題は結構速めのテンポで煽るように演奏させ、バリトンのソロに突入すると言う感じでした。第三、第四楽章は、自分でも直前に「演奏している」だけに、ますます面白かったです。もちろん声には出しませんでしたが、心の中では一緒に歌っていました。

 プログラムや記念誌等を見ると、オケだけでなく合唱・ソリストとも関西から完全に「引っ越し」で朝比奈先生が第九を振ったのは今回がはじめてのようですが、見事な「討ち入り」だと思いました。
 今回は若干ミクロな視点で聴いたので、話が細かくなりました(笑)。

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