ホセ・カレーラス リサイタル


日 時:平成9年5月29日(木)午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:ホセ・カレーラス(テノール)
    ロレンツォ・バヴァーイ(ピアノ伴奏)
曲 目:マルティーニ   /愛の喜びは
     ボノンチーニ    /お前を讃える栄光のために
     作者不詳     /海に来たれ
     トスティ       /最後の口づけ
               /幻覚
               /理想の人
               /別れの歌
               /あなたが帰って来ないなら
           (休憩)
    ヒナステラ     /忘却の木の歌
    グァスタビーノ   /ばらと柳
    ナーチョ      /お前がなつかしい
               /いとしいひと
    トルドラ       /五月
               /見習い水夫の歌
    レオンカヴァルロ /フランスのセレナード
               /ナポリのセレナード
    ガスタルドン    /禁じられた音楽
           (アンコール)
    トスティ       /かわいい口もと
    カルディロ     /つれない心(カタリ・カタリ)
    クルティス     /世界でただひとり君を愛す
               /帰れ、ソレントへ
    ララ         /グラナダ
    クルティス     /泣かないお前


 マイクを通さないカレーラスの声、しかもピアノ伴奏だけで他に何もない。的矢でとれる無菌牡蠣に、ちょいとレモンを絞って、すすり込むような贅沢さである。

 曲は、パヴァロッティのナゴヤドームのコンサートとは正反対で、オペラのアリアは一曲もなし。

 最初は若干緊張気味なのか、やや抑えたような歌い方。カミサンは気に入らなかったようであるが、こればかりは、ステージに立った経験のあるものでないとわからないだろう(自分と一緒にするなってか(笑))。

 トスティあたりからは、もうステージに釘付け。昨年もそうであったが、カレーラスの希望で、開演中は冷房を止めている(空気が乾燥するためか?)ため、客席はかなり暑いが、そんなことも気にならない。

 カレーラスは例のごとく、表情豊かに、情感たっぷりと歌う。軽々と高音を出すというより、魂をぶつけて歌い上げるという感じ。これがまた女性ファンに受けるのだろう。

 休憩中にバーに行き、スパークリング・ワインを一杯。先日の日本フィルのときにこれをやって、つい癖になってしまったようだ。休憩がおわり、着席してしばらくしてから、1階席がざわついている。そして、前の方の聴衆が後ろを向いて立ち上がり、拍手をしだした。なんと、アグネス・バルツァが来たのだ。ちょうど1階の客席の前後を分ける通路のすぐ後ろの席に座ったが、拍手に応え、立ち上がって会釈をした。

 後半の最初に、カレーラス自ら、アグネス・バルツァが来ていることを紹介した。改めて会場割れんばかりの拍手。

 後半はカタロニアの歌、そしてレオンカヴァルロのセレナード、最後に、国立競技場でも歌った「禁じられた音楽」。これでいちおうオシマイ。

 しかし、お開きどころか、皆舞台に押し寄せてお花とプレゼントの嵐。  アンコール一曲目は、トスティの「かわいい口もと」。これは、ずっと背中を向けていたP席へのプレゼントで、P席を向いて歌った。このあたりが心憎い。

 その後は、アンコールのたびに総立ちで拍手。最後は、カレーラスが先に出てきてピアノの前に座ってしまい、伴奏のバヴァーイに「歌ってよ」というジェスチャーをして、笑わせてくれた。

======================= 1997-05-31 (Sat) 20:57:10 ====================


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