日本フィルハーモニー交響楽団 第490回定期演奏会


日 時:平成9年5月16日(金)午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
    ジャン・フルネ(指揮)
曲 目:ドビュッシー(コンスタン編曲)/「ペレアスとメリザンド」による交響曲
    ベルリオーズ/幻想交響曲


 ジャン・フルネという指揮者、名前はよく聞いていたが、今まで聴いたことがなかった。いつのまにか80歳を過ぎているということと、選曲が魅力的ということで、チケットを買おうと思っていたところ、行き付けの金券ショップの委託販売コーナーに「どうぞ」と言わんばかりに並んでいたので、すぐさまゲットした。

 日本フィルを聴くのは初めてなので、オーケストラの雰囲気に対する感想などを先に述べると、メンバーがなんとなくフレンドリーという感じ。6時40分くらいにホールに入ったら、7〜8人くらいのメンバーがステージでおさらいをしていたが、第2ヴァイオリンの一人のメンバーが、幻想交響曲の第5楽章の終わりの方を、かなり長く一生懸命弾いていた。開演時刻になって、メンバーがステージに入場してきて、コンサートマスターの人が、客席の一番前の人に軽く会釈をしていた。そして終演後、ステージからひきあげる際は、全員がそろってお辞儀。こういうステージマナーってのも気さくでいいと思った。

 さて、演奏...の前に指揮者。フルネは、舞台の袖から小刻みな足取りでトコトコと出てきて、客席に向けて軽く会釈。しかし、終始ニコリともせず。指揮ぶりも、派手な動きは全くない。一見するとフランスの偏屈なおやじという感じ。しかし、その偏屈なおやじのもとで、あんなに美しい音楽が出てくるのだから不思議だ。

 で、演奏。前半の「ペレアスとメリザンド」による交響曲は、非常に美しかった。しかし、なんとなく一本調子で、途中数回意識を失ってしまった(^_^;)。後半に備えて、休憩の間にロビーに出て、スパークリング・ワインを一杯。昼間暑かったこともあって、非常に美味しかった。

 そして「幻想」。考えてみれば、幻想を生で聴くのは2回目。最初に聴いたのは、もう遥か昔のことであるが、小澤/新日本フィルの演奏会だった。前半は堤剛のチェロが入った「ドン・キホーテ」であった。

 フルネの指揮は派手ではないが、オーケストラがとてもよく鳴っていた。全体を通じてあまり走らないようなテンポで通していた。第2楽章の弦の響きがとても美しかった。第4楽章、第5楽章は、鳴らすところは思いっきり鳴らしていた。第5楽章の最後、それまでやや押さえ気味だったテンポを一気に加速して最後まで駆け抜けたのには驚かされた。

 「フルネの幻想」ということで足を運んだコンサートであったが、期待に違わぬ出来で、日本フィルの素晴らしさをも堪能し、大満足で帰宅した。


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