ウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団(2)


日 時:1997年3月30日(日) 午後2時〜
場 所:紀尾井ホール
出 演:ライナー・キュッヒル  (ヴァイオリン)
    エクハルト・ザイフェルト(  〃   )
    ハインツ・コル      (ヴィオラ  )
    ゲアハルト・イーベラー (チェロ   )
曲 目:シューベルト /弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 D.87
     ブラームス  /弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 作品67
     ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130
             「大フーガ付き」
    −−−−−−−−−−(アンコール)−−−−−−−−−−−−
    Enrigue Francini/La vi llegar


 夜来の雨も上がり、初夏のような陽気。一気に咲いた桜の中を、午後の日差しを一杯に浴びながら紀尾井ホールに向かう。開演前の、あまり人気(ひとけ)のないホール内の座席に腰を下ろす。外は日の光がさんさんとふりそそいでいるが、ホールの中はちょっとひんやりとして薄暗い。ふと「ウィーンでマチネーを聴いたらこんな感じなのだろうか」と思ったりもする。

 今日も、昨日に続いて馥郁たるアンサンブルをたっぷりと楽しませてくれた。最初のシューベルトでは、第3楽章だっただろうか、弓をいっぱいにつかって豊かなハーモニーを鳴らし、そして最後はゆっくりと消えて行くような部分では、このまま天に昇って行ってしまいたいような幸福感を味わうことが出来た。

 2曲目のブラームスは、実に力強い曲。ここではキュッヒルさんの弓使いをじっと見ていた...といっても私はバイオリンを弾けるわけではないから、とくに意味はないのだが、弦にまっすぐに弓が当たっていて、弓を動かすスピードがとてもはやい。ものの本で、ウィーン・フィルの奏法の特色の一つに、弓の動くスピードが速いということが書いてあったように記憶しているが、なるほど、このことなのかなぁと思った。

 後半はベートーヴェンの「大フーガ付き」。こちらは実に堂々とした演奏。ユニゾンの部分からぱっと各声部に散って絡み合うところなど、ききごたえたっぷりであった。

 アンコールは、ハイドンの「ひばり」あたりでくるかと思ったら、意表をついて、タンゴのリズム。へ〜こういうのもあるんだ、と感心した次第。

 外に出ると、まだ春の日差しがたっぷりとそそいでいた。

======================= 1997-03-30 (Sun) 21:16:27 ====================


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