ウィーン・リング・アンサンブル ニューイヤーコンサート(サントリーホール)



日 時:1997年1月12日(日) 午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:1月10日と同じ
演 目:1月10日と同じ

 10日が立川、11日が江戸川、12日がサントリーホールと、東京での3日連続のコンサート。

 昨年のサントリーホールでの演奏会に比べると盛り上がりにかけたような。これは聴衆のノリの問題かもしれないが、去年よりも随分さめた雰囲気だった。去年までは、シュルツさんのファンの女性を中心としたサポーターグループが毎年一番前に陣取っていたのだが、その人達がいなくなってしまった(少なくとも立川にもサントリーにいなかったし、去年のシュルツさんのリサイタルにも来ていなかった)ことも影響しているのか。去年はものすごい熱気で、最後はホール全体がスタンディング・オベーションになったのに、今年はあっさりとアンコール3曲(うち1曲が青きドナウで、もう1曲がラデツキー)でおしまい。

 もちろん、演奏が物足りないとかというわけではない。とくに、今回は、メンバー全員が「演奏することの楽しさ」を素直にあらわしている(すくなくともそう見えた)のが非常に印象に残った。

 それにしても、これだけの名手がウィンナ・ワルツやポルカを奏でるアンサンブルを結成して日本で演奏してくれるというのは、なんという贅沢であろう。伝統あるウィーン・フィルであるから、現在のメンバーに劣らない、または優れた演奏家がいることは否定できまい。しかし、はたしてそのメンバーがアンサンブルを作って、これだけ楽しいコンサートを開いてくれるだろうか。たとえば、プリンツ(cl)、トリップ(fl)、ヒューブナー(vn)といったメンバーによるアンサンブル・・・。まぁ、ウィーン・フィルのメンバーというのは、昔から洒落っ気のある人が多く、ホイリゲで流しの楽団からヴァイオリンを借りて、ウィーンの小唄を一節なんてことを良くやっていたとは聞いたことがあるが...。

 また、今後、シュルツさんやシュミードルさんらがウィーン・フィルでの定年を迎えたとき、このアンサンブルからも退いてしまうのだろうか。優れたプレイヤーとエンターティナーの両方の要素を持つ彼らがいなくなったあと、このアンサンブルはどうなるのか。過去にチェロがバルトロメイからイーベラーにメンバー変更しているが、メンバーを替えながら続いていくのだろうか・・・。もうひとつのウィーン・フィルによるアンサンブルである「ウィーン・ヴィルティオーゾ」の演奏を聴き、その音色のあまりの違い(どういう違いかはあえて書かない)に愕然としたことを考えると、なんとなく憂鬱にもなってくる。

 ま、しかし、そんなことを日本の一聴衆が思い悩んでいてもしかたがない。その日がくるまでは楽しませてもらおうではないか。とりあえずは来年の正月・・・といきたいところであるが、来年のウィーン・リング・アンサンブルのニューイヤーコンサートは、予定されていない。

 といっても、来日自体がないわけではなく、2月になっているようである。「バレンタインのお楽しみ」ということらしい。


======================= 97/01/24(金)00:58:13 ====================

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