ウィーン・リング・アンサンブル ニューイヤーコンサート(立川)



日 時:1997年1月10日(金) 午後7時〜
場 所:アミューたちかわ大ホール

出 演:ウィーン・リング・アンサンブル
     ライナー・キュッヒル   (ヴァイオリン)
     エクハルト・ザイフェルト (  〃   )
     ハインツ・コル       (ヴィオラ  )
     ゲアハルト・イーベラー  (チェロ   )
     アロイス・ポッシュ    (コントラバス)
     ウォルフガング・シュルツ(フルート  )
     ペーター・シュミードル  (クラリネット)
     ヨハン・ヒントラー     (  〃   )
     ギュンター・ヘーグナー (ホルン   )

演 目:ヨハン・シュトラウスII ワルツ「春の声」
         〃       オペレッタ「こうもり」より 時計の二重唱
                 シュネル・ポルカ「チック・タック・ポルカ」
         〃      オペレッタ「ウィーン気質」より
                 二重唱「ウィーン気質」
         〃      オペレッタ「こうもり」からカドリーユ
    ヨハン・シュトラウスT ケッテンブリュッケ・ワルツ
    ヨハン・シュトラウスII トリッチ・トラッチ・ポルカ
    −−−−−−−−−−(休 憩)−−−−−−−−−−−−
    ヨハン・シュトラウスII ワルツ「芸術家の生涯」
    ツィーラー       「ワイン畑のギャロップ」
    レハール        オペレッタ「メリー・ウィドウ」より
                「マクシムの歌」
    II&   ピチカート・ポルカ
    グノー         オペラ「ファウスト」よりワルツ
    レハール        オペレッタ「メリー・ウィドウ」より
                女房行進曲「女の研究」
    ヨハン・シュトラウスII シャンペン・ポルカ
    −−−−−−−−−(以下アンコール)−−−−−−−−−
    ツィーラー       ポルカ「気も晴れ晴れと」
         〃      ワルツ「美しく青きドナウ」
         〃      ラデツキー行進曲


 ことしもウィーン・リング・アンサンブルがコンサート初め。
 午後四時に仕事を切り上げ、事務所を出て新富町駅から有楽町線に乗り、市ヶ谷で都営新宿線に乗り換える。笹塚で京王線に乗り継ぎ、分倍河原で下車。そこから今度は南武線に乗り、西国立で降りる。駅前の喫茶店で私はオムライス、カミサンは和風スパゲティを食べ、腹ごしらえ。そこから5分ほど歩いたところがアミューたちかわ。

 二年前のキュッヒル・カルテットの演奏会のときには、演奏会後に懇親会があったので、今回も...と思ったが、そううまくはいかなかった(残念)。

 しかし、CD販売コーナーで、キュッヒルさんのソロ・アルバムを見つけて大喜びで買い求めた。このCD、なぜか石丸やタワーにはまったく在庫がない。この演奏会のときだけ出てくるのだ。前回買いそびれてしまい、今度こそはと思っていたので。

 演奏会のプログラムには、毎年「好きな・・・」というアンケートが出ているので、これも楽しみの一つ。今年は「好きな交響曲」「好きなオペラ」ということで、なかなか良いテーマを選んでくれた。

 キュッヒルさんは、全部の交響曲が好き、全部のオペラが好きという実にそつのない答え。シュルツさんは、交響曲が「ドポ8」でオペラが「ボエーム」。シュミードルさんは、交響曲が「未完成」、オペラが「ジークフリート」。ヘーグナーさんは、交響曲が「ロマンティック」(パチパチパチ(笑))、オペラが「コシ」とのこと。

 さて、演奏。毎年実に楽しいのであるが、今年はわをかけて楽しい。なぜか。演奏者が例年にも増して実に楽しそうに演奏しているのである。ヴァイオリンのザイフェルトとヴィオラのコル、フルートのシュルツとヴィオラのコル、フルートのシュルツとクラリネットのシュミードル、クラリネットのヒントラーとホルンのヘーグナー...みんながアイ・コンタクトをとりながら、実にたのしげに演奏している。あれだけ楽しそうに演奏していると、聴いてるほうも実に楽しくてぐいぐいと惹き込まれていく。

 それと、曲目。ご覧のとおりポピュラーなものが中心になっているが、理屈抜きで楽しめるほうが良い。今年のウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートで、ほとんど知らない曲ばかりを、ムーティーの「ヴェルディ風調理」で聴かされたあとだけに、なおさらである。もちろん、アンサンブルのプログラムは毎年少しずつ変わっていて、今年はグノーのワルツが入ってきたところは目新しい。

 前半は6曲中5曲がヨハン・シュトラウスIIの曲。「こうもり」からアイゼンシュタインが伯爵夫人に化けたロザリンデを口説こうとする場面の音楽と、オルロフスキー公爵が「私の注いだウォッカを飲み干せない奴は酒びんでぶったたいてやる」などと歌う場面を中心にした音楽。ケッテンブリュッケ・ワルツは、ヴィーダーマイヤースタイル(弦楽四重奏のチェロの代わりにコントラバスが入る形)でこじんまりと演奏された。前半の最後はトリッチ・トラッチ・ポルカ。シュルツさんのピッコロが冴え渡る。

 後半はいろいろな作曲家のポルカ・ワルツが並ぶ。

 そして、「お笑いネタ」もちゃんとある。今年はレハールの「マクシムの歌」で、シュルツさんがシルクハットとマフラー、シュミードルさんが巨大な蝶ネクタイ(ほとんど吉本)で登場。つぎのピチカート・ポルカでは、オーケストラでは鉄琴で演奏されるところを舞台袖からシュルツさんがトライアングルで乱入(笑)。メリー・ウィドウの「女房行進曲」では、ヒントラーさんとシュルツさんが途中奇声(笑)を発しながら演奏。

 そして、最後は、シャンペン・ポルカでおしまい...といってもこれで帰る人は皆無。

 アンコールの一曲目はツィーラーの実に軽快なポルカ。二曲目。弦の奏でるさざなみのような響き。そう「青きドナウ」。そして、なんとここで拍手が沸き、演奏がとまった。さすがに新年の挨拶はなかったが、このニューイヤーに通いだして5年目にして、ついにここまできた(笑)。ここでも、みな実に楽しそうに演奏している。そしてもちろん演奏が乱れることはまったくないのだから、当たり前とはいえ、すばらしい...。三曲目は、もちろん「ラデツキー行進曲」。ワルツ・バージョンにはならなかったが、例年のように、トリオのところで、シュルツさんが3拍子をきざむ。

 ということで、第1回(笑)ニューイヤーコンサートはこれで終わった...とおもったら、ちょいとおまけ。

 カミサンが花を持ってきたら、入場の際に預かりということになった。終演後に係りの人に、できれば直接渡したいと言ったら、「はい。いいですよ。」とあっさりオーケー。緊張の面持ちで、楽屋への通路に通してもらった。

 目の前にシュルツさんがいた。カミサンがおずおずと進み出て花束をわたした。「ドウモ・アリガトウ」と言って、握手をしてくれた。そして、建物から外に出ると、メンバーがマイクロバスで引き上げるところだった。一生懸命手を振った。皆笑顔で答えてくれた。うれしかった。

 ということで、つぎは12日にサントリーホールで第2回(笑)。

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