フランシスコ・アライサ リサイタル


日 時:11月11日(月)午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:フランシスコ・アライサ(テノール)    ジャン・ルメール(ピアノ)
曲 目:レハール    /「ジュディッタ」より「友よ、人生は生きる価値がある」
    シューベルト   /春に
                セレナード
               逢う瀬と別れ
    レハール     /「ほほえみの国」より「君は我が心のすべて」
    レオンカヴァッロ /マティナータ
    ロッシーニ    /ラ・ダンサ
    ジョルダーノ   /「アンドレア=シェニエ」より「ある日青空をながめて」
     (休憩)
    トゥリーナ    /三つの詩
    ララ        /グラナダ
    トスティ     /最後の歌
             /悲しみ
             /暁は光から闇をへだて
    ガスタルドン  /禁じられた音楽
    クルティス   /帰れソレントへ
     (アンコール)
    ディ・カプア   /オー・ソレ・ミオ
    トスティ     /かわいい口許
    ポンセ      /アレルヤ
    チレア      /「アルルの女」よりフェデリコのアリア
    トスティ     /理想
    ナポリ民謡   /カタリ・カタリ


 ご覧のとおり、見るだけでワクワクするようなプログラムでしたが、演奏もすばらしいものでした。

 今回は、15日の王子ホールの券も買えたので、サントリーでは2階RA席で聴くことにしました。独唱のリサイタルでステージのサイドの席というのはたしかに音的には良くはありませんが、ステージを横から見ていると、暗い中でスポットを浴びて歌う姿がよりクローズアップされるように見えるので、これはこれで結構好きです。

 シューベルトのセレナードを聴いていて、幼稚園くらいの頃に電蓄でこの曲を聴いたのをなぜか想い出して、涙が出てきてしまいました。35過ぎて、涙腺が弱くなったのかな〜。

 前半のレハール以下5曲は、あえて説明するまでもない名曲です。マティナータはJALのCMでも流れてますし(笑)。忘れな草は甘く切ない節回しでうっとりとしてしまいました。前半の締めくくりの「ある日青空をながめて」は、力いっぱい歌いきったという感じで、ブラボーが飛んでました。

 後半も、どれが良かったかと聴かれても「全部良かった」としか答えようがありません。グラナダは聴くと身体の血が騒ぐし(笑)、トスティはしみじみとして、思わず目を閉じて天を仰いでしまいそうになるし。帰れソレントへは3大テノールのときとは、また違った、やさしく歌いかけるという感じで。

 アンコールも、あの前奏で、思わず「青春の握りこぶし」状態(笑)。やたら声を張り上げずに、まろやかに歌う「オー・ソレ・ミオ」も良いもんです。来年はあの歌いかたでいこうかと思いました(笑)。

 女性ファンの花束に囲まれて何度もアンコールを重ね、4曲めだったか、もうないだろうと思っていたら、ピアノのルメール氏が突然懐から楽譜を取り出したので、みな慌てて着席。それで流れ出したのが「フェデリコのアリア」ですから、たまりません(笑)。

 その後は、全員が立ち上がって拍手とブラヴォーを贈るという実に気持ちの良い雰囲気になってしまい、最後の「カタリ・カタリ」の前奏が流れ出したときは「こんな幸福があっていいものか」と思いました。

 終演は9時30分でした。いや〜ほんとに歌ものはいいです。帰りはオー・ソレ・ミオを口ずさみながら歩きました。15日の王子ホールがまた楽しみ。
======================= 1996-11-12 (Tue) 23:24:50 ====================


コンサートレポート96表紙に戻る