日 時:9月30日午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮:ズビン・メータ
曲 目:ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調(ノヴァーク版)
ウィーン・フィルを最後に生で聴いたのは、昭和52年だったか...ベーム&ドホナーニと来日したときのこと。当時は、外オケに二人の指揮者がくるというのが結構あって、今から考えると随分ゆとりがあったのだなぁと思うばかり。
リダイヤル百数十回の結果獲得したチケットは、2階のLDブロックだった。しかし、聴けるだけめっけものというか、サントリーホールの場合、座席表では端っこでも、実際に行ってみると、「けっこういい席じゃん」というところが結構ある。
2階センターを見ると、指揮者の大友直人氏の姿が見えた。
開演のチャイムがなり、座席が埋まっていく。「売り切れ」という割には、結構空席がある。企業が協賛するとどうしても「接待の場」にされるのは仕方ないかもしれないが、その陰には指が折れんばかりに電話をしまくって力尽きたファンの恨みがあることを忘れてほしくない。
舞台袖の扉が開き、団員の姿が見える。盛んな拍手が鳴り響く。こうして団員が出てくるだけで拍手が響くのも、昔はウィーン・フィルだけだったような気がする。
キュッヒル、ザイフェルト、シュルツ、イーベラー、ボッシュ、シュミードル...おなじみのメンバーが登場してくる。しかし今日はウィンナ・ワルツではなく、ブルックナーの大曲。交響曲第8番である。大好きなブル8をウィーン・フィルで聴けるなんて、なんて贅沢なことか...。
チューニングが終わり、静けさがホールを包む。袖の扉が開き、メータが姿を見せる。割れんばかりの拍手。
ゆっくりと指揮棒が降ろされる。出だしの金管がちょっとふらついた。おっとっと。弦は美しい。
メータの指揮は、あまりオーケストラを押え込もうとするものではなく、大きな円を描きながら、オーケストラに任せるという感じ。変な表現だが、「ウィーン・フィルの伴奏をしている」というか...。
フォルテの音は凄く大きい。それでいて濁ったりしないのは、さすがにウィーン・フィルというところ。もちろん、第1楽章の最後の消え入るような終止部分や第3楽章の弦の響きは実に繊細で美しかった。
それにしても、ここ数年、ウィーン・フィルの細切ればかり聴いていたせいか、シュルツ氏やシュミードル氏がまじめな顔をしてブルックナーを演奏しているのを見ると、なんだか変な感じさえした。しかし、第4楽章のフルートからクラリネットへのソロのリレー部分は良かった。
全体を通じて、サラリとした「くせのないブルックナー」という演奏だった。 このプログラムなのでアンコールはなし。終演後も拍手は鳴り止まず、メータが再びステージに出て答礼していた。
======================= 1996-10-13 (Sun) 00:30:54 ====================