スカラ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会


日 時:9月3日午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:管弦楽:スカラ・フィルハーモニー管弦楽団
    指 揮:リッカルド・ムーティ
曲 目:ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
    ベルリーニ/歌劇「ノルマ」序曲
    ヴェルディ/歌劇「ナブッコ」序曲
    ヴェルディ/歌劇「椿姫」第一幕への前奏曲
    ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
        (休憩)
    ムソルグスキー(ラヴェル編曲)/ 組曲「展覧会の絵」
    (アンコール)
    マルトゥッチ/夜想曲
    ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲


 7月28日の朝比奈・大フィル東京公演以来のコンサート。秋のコンサートのスタートでもあった。

 ウィリアム・テル序曲は、小学校のときの音楽の時間に良く聴いた曲。最初のチェロのソロがとても美しい。嵐はすさまじく、嵐が晴れた時のイングリッシュ・ホルンがとてもよかった。スイス軍の行進は実に勇壮。その一方で「あ。『おれたちひょうきん族』のオープニングテーマだ。」などと思い出してしまった。

 「ノルマ」「ナブッコ」はまたオケを存分にならしてグイグイと突き進む感じ。「椿姫」は一転して、耽美的ともいうべき弦楽の美しい調べ。 そして「運命の力」序曲。昭和50年にムーティがウィーン・フィルと来日した時の、ムーティのアンコール曲がこの曲だった。あれから20年。ウィーン・フィルを前に力みかえっていた当時のムーティの姿がオーバーラップする。今回のムーティの指揮は、激しさの中にも、旋律を物凄く美しく歌わせることに心を砕いている様子がよくみえた。

 後半は展覧会の絵。やや速めのテンポで、どの曲も物凄くよく鳴っていた。第1曲の「こびと」の打楽器の強烈なアタッカ。「古城」の最後の消えゆくような管楽器(サックス?)の響き。そして最後の「キエフの門」のパワー全開。すばらしい演奏だった。

 席はP席の、正面客席に向かって一番右端(つまり指揮者が出入りする側)の前から3番目。ムーティは舞台袖に引っ込む度に、P席にも顔を向けて軽く指揮棒を振って挨拶をしてくれた。

 アンコールの最初の曲は初めて聴く曲。あとで「夜想曲」ときいてなるほどと思った。この日一番静かな曲だった(笑)。そしてなりやまぬ拍手に応えて、アンコールの2曲め。曲の前にムーティがヴィオラの団員を指した。日本人の団員であった。「曲は、ヴェルディの・・・・。日本語で言いますと、え〜・・・。」ここで一同爆笑。

 ムーティが指揮棒をおろす。「じゃん・・じゃん・・・・」思わずガッツポーズ。「シチリア島の夕べの祈り」序曲。ローマの三大テナーで演奏された曲である。ムーティはメータよりも速いテンポで、チェロのメロディーは朗々と歌わせる。

 ご覧のとおり、前半はオペラの序曲集。後半は展覧会の絵。例えていえば、前半は小皿料理が幾皿も出て、最後に具沢山の「お食事」、そしてデザートにまず、さっぱりとした果物が出て、そのあとにイタリアン・ジェラートが出たという感じ(笑)。
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