朝比奈隆 ブラームス・チクルス III


日 時:平成8年6月4日(火) 午後7時〜
場 所:サントリーホール
出 演:朝比奈隆(指揮) 東京交響楽団(管弦楽)
     園田高弘    (ピアノ−1のみ)
曲 目:1 ブラームス /ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83
    2   同   /交響曲第3番 ヘ長調 作品90


 午後6時30分頃サントリーホールに到着。今回は当日券が残っていた。てっきり「凱旋公演で札止め」(笑)になるかと思っていたので、ちと拍子抜け。

 今回は、ちょっぴり贅沢をして、1階の9列めの舞台に向かって右よりの席の券を購入した。

 前半のピアノ協奏曲。若干ピアノにミスタッチはあったが、実に堂々とした第1楽章。個人的好みからいうと、やはり1番よりも2番の方がいい。オケも「伴奏」に止まらず、ピアノと対等に重厚な響きを聴かせてくれている。第2楽章の途中、Vnがユニゾンで奏でる旋律の美しかったこと...。ピアノの入った交響曲といっても過言ではないと思う。園田高弘という円熟のソリストを迎えたことも成功の一因ではなかったか。

 後半は交響曲第3番。ブラームスの4つの交響曲の中でも比較的軽いこの曲を、果たして朝比奈先生がどう聴かせてくれるか。これが楽しみだった。

 冒頭の金管のファンファーレ。タップリと溜めて、一気に弦の旋律がほとばしり出る。ここを聴いただけで、もう大満足。実に分厚い響きであった。しかし、朝比奈先生の棒を読み取るのは難しそうだ。至近距離でみたが、どこで入ればいいのか、わからない箇所がかなりあった。

 第2楽章・第3楽章は意外にあっさりとした演奏。とくに第3楽章はもっとしっとりと聴かせてくれると思ったのだが、朝比奈先生の指揮は、3拍子を大きくはっきりと刻んだもの。どこかの対談で、ブラ3の第3楽章を「愛ですなぁ」と言っていた(記憶がある)わりには、ちょっとあっけない感じがした。

 第4楽章は、再び第1楽章と同様の、厚い演奏。最後は静かに消えるように。ピチカートも大きなストロークで豊かな終結。

 終演後は、1番のときのようなブラボーの嵐ではなかったが、温かな拍手が続いた。皆吸い寄せられるように舞台の前に歩いて行く(笑)。1番のときと同様、オケが引き上げた後のおでましは1回だった。 第2楽章・第3楽章の美しさに命をかけている人には、ちと物足りなかったというかピンとこなかったかもしれないが、第1楽章・第4楽章のエネルギッシュなした響きを愛する人にとっては、よい演奏だったと思う。
======================= 1996/06/09(Sun) 23:32:50 ====================


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