ウィーン・リング・アンサンブル東京公演(その1)


日 時:1996年1月9日(火) 午後7時〜
場 所:かつしかシンフォニーヒルズ
出 演:ウィーン・リング・アンサンブル
     ライナー・キュッヒル   (ヴァイオリン)
     エクハルト・ザイフェルト (  〃   )
     ハインツ・コル       (ヴィオラ  )
     ゲアハルト・イーベラー  (チェロ   )
     アロイス・ポッシュ    (コントラバス)
     ウォルフガング・シュルツ(フルート  )
     ペーター・シュミードル  (クラリネット)
     ヨハン・ヒントラー     (  〃   )
     ギュンター・ヘーグナー (ホルン   )
演 目:ヨハン・シュトラウスII  オペレッタ「こうもり」序曲
    ツィーラー         ワルツ「心地よい夜に」
    ヨハン・シュトラウスII  オペレッタ「ジプシー男爵」から「そう。それは本当のことだ。」
    ライターマイヤー     ワルツ「ウィーンの心」
    ツィーラー         ポルカ「気も晴れ晴れと」
    ヨハン・シュトラウスII  オペレッタ「騎士パスマン」からチャールダーシュ
    −−−−−−−−−−(休 憩)−−−−−−−−−−−−
    ヨーゼフ・シュトラウス  ワルツ「オーストリアの村つばめ」
    ヨハン・シュトラウスII  オペレッタ「ジプシー男爵」から「ウソ鳥の証言」
         〃        オペレッタ「ヴェネツィアの一夜」メドレー
         〃        エジプト行進曲
         〃        ポルカ「狩」
    −−−−−−−−−(以下アンコール)−−−−−−−−−
         〃        トリッチ・トラッチ・ポルカ
         〃        ワルツ「美しく青きドナウ」
         〃        ラデツキー行進曲


 昨年に引き続いて、かつしかシンフォニーヒルズでのニューイヤーコンサート。今回は事務所でちょいと仕事をしてからということで、都営地下鉄浅草線の東銀座駅から地下鉄に乗り、日本橋で下車。日本橋の東急百貨店(昔の白木屋)でうさぎと待ち合わせ、夕食は「たいめいけん」へ。昨年はホールの近くで食事をとろうとしたところ、ホール内のレストランは満員で、回転寿司に駆け込んだので、それを慮って、食事を先に済ませることにした。

 50円のボルシチ、キャベツのコールスロー、そして先代のおかみさんがまだ健在なのがうれしかった。関西の自由軒と同様、カレーライスを注文。ここのカレーは、自由軒のとは違い、ごく普通のカレーライス。食事を済ませてから再び都営地下鉄浅草線に乗ると、カミサンが「腹が痛い」と言い出す。どうやら、すきっ腹にカレーライスを急いで食べたかららしい。手帳に挟んである胃腸薬を与えて、ホールに着いたら飲むように諭す。青砥で下車。思いのほか早く着いてしまったので、時間をもてあます。20分程して、開場。エスカレーターでエントランスに入ると、なんとチェロのイーベラー氏が居る(@_@) 。手にはチケットの封筒をもっているので、どうもチケットを渡すためらしい。

 知人と挨拶などをしているうちに、開演の合図。客席が暗くなり、舞台の照明がつき、袖の扉が開く。話し声が聞える。まずコントラバスが見え、ポッシュ氏登場。その後は、ぞろぞろとメンバーがステージにあらわれる。

 まずは「こうもり」序曲。大阪いずみホールでは「ジプシー男爵」序曲で始まったが、「こうもり」のはじけるような曲調のほうがいいような気がする。それにしても、キュッヒルさんの奏でるヴァイオリンの音色は美しい。昨年はヨハン・シュトラウスIIの著名な曲だけでプログラムを組んでいたが、今年はツィーラーのワルツ・ポルカが入っており、趣向が変わっていて面白い。前半の最後の「騎士パスマン」のチャルダーシュは、クライバーがニューイヤーコンサートを振ったときにも演奏された曲で、前半を締めくくるのにふさわしい曲。

 休憩になり、ロビーに出ると、ウィーン・リング・アンサンブルやムジーク・フェラインSQ等でみかけた顔があちこちに。カミサンは、自分を棚に上げて「あ〜またあの人来てるや。」などと言っている。

 後半は、「オーストリアの村つばめ」から。シュミードルさんが鳥の声の出る笛をうまくはさみ、客席はクスクス笑い。オペレッタからの2曲が終わり、全員が一旦ステージから姿を消す。 そして、再びメンバーがステージへ...う。二人足りない(笑)。と思いきや、袖から、アラブの人がかぶる布みたいなやつを被ったシュルツさんとシュミードルさんがあらわれる。場内爆笑。

 曲はエジプト行進曲。打楽器代わりにコントラバスを叩いてリズムをとる。途中で「ラーララ、ラーララ...」と歌うところがあるが、シュルツさんの声がよく聞えていた。最後は、再びシュルツさんとシュミードルさんだけが、舞台の袖に消えていく。拍手で呼び戻され、大ウケ。

 再び、シュルツさんとシュミードルさんだけが、一旦舞台の袖に引っ込む。まぁ、「衣装」を取るためだけだと思いきや、今度はチロルハットのような帽子をかぶって登場。ちなみに、いずみホールでは、帽子を後ろ手にかくして舞台にあらわれ、演奏開始と同時にかぶろうとしたところ、シュミードルさんが落としたことから、最初から帽子をかぶって出てくることにしたらしい。曲はポルカ「狩」。途中でシュルツさんがスタート用のピストルを撃ち、最後にもう一発。

 さて、これでプログラムに載っている曲は終了。しかし、ほとんど誰も帰る素振りを見せない。当然である(笑)。舞台には、小さな花束を持った女性が数名。全員に一つずつ行き渡るよう用意しているのだから、気合が入っている。

 アンコールの第一曲めは、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。これも定番になってきた。ちなみに、1975年3月25日のベーム/ウィーン・フィルの演奏会のときも、最初のアンコールはこれだった。第二曲めは、「青きドナウ」。弦のトレモロのところで、一瞬空気の色が変わったので、拍手がでるかと思ったが、出なかった。ちなみに、いずみホールでは、拍手が出たが、曲は止まらなかった。ホルンの音色が、なんともまろやかで、思わず微笑みたくなってしまう。そういった反面で、「青きドナウ」というのは、演奏会の終わりが近いことを告げる曲でもある。「この瞬間がいつまでも続いて欲しいのに...」という願いもむなしく、次々とワルツの主題が奏でられていく。 そして、第三曲目は、「ラデツキー行進曲」。もちろん、会場には手拍子が鳴り響く。そして、このラデツキーは、おそらく日本でしか聴けないのではないだろうか。なんてったって、トリオの部分で、突如としてワルツになってしまうのだから(笑)。

 ラデツキーの後も、皆メンバーに拍手をおくり続ける。拍手が止んで、客席をあとにする。「ラデツキーまでやってくれるなんて!」と感動している中年の女性。「今度は、サントリーで!」と挨拶を交わしている人々。いやいや。実に結構でした。
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