東京交響楽団第472回定期「大作曲家の深層」


日時:2000年7月22日(土)午後6時〜
場所:サントリーホール
出演:庄司紗矢香(ヴァイオリン)
   東京交響楽団(管弦楽)
   ユベール・スダーン(指揮)
曲目:團伊玖磨/祝典序曲
   モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」
   (ソロ・アンコール)パガニーニ/24の奇想曲から第24曲(ミルステイン編)
   ブルックナー/交響曲第9番ニ短調

 前回もモーツァルトとブルックナーで好演を聴かせてくれたスダーン。今回も期待を裏切らない名演でした。

 サントリーホールは、ほぼ満席(当日券なし)。庄司紗矢香さんを聴きに来た聴衆も多かったようです。小さなヴァイオリンさげてミニ庄司紗矢香みたいなかっこうしたちっちゃな女の子が結構いました(笑)。こういう子にブルックナーを聴かせるとどうなるか(^_^;)。

 最初の「祝典序曲」は、実に良い曲です。團さんというと、「岬の墓」(合唱曲)を思い出してしまうのですが、この祝典序曲の中に、岬の墓を彷彿とさせるような音の動きが出てきました。こういう曲だったら、聴いていて楽しいですね。

 2曲目のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、P席で背中側から聴いたので表情は見えなかったのですが、彼女がこれからどう育っていくかが楽しみです。アンコールでひいたパガニーニの「奇想曲」で技巧の片鱗を見せてくれました。

 20分の休憩を挟んで、いよいよメインのブル9。3月にミスターSで2回、5月に朝比奈先生で2回。今年前半で5回目というのは、ちと偏りすぎているかも知れませんが、ようやく9番が身体になじんできたかなという感じです。スダーンは棒を使わずに指揮をします。そしてかなり身体を大きく動かします。特に膝の曲げ伸ばしがかなり多いので、ちょっと面食らいました。正面で凝視していたら、だんだん船酔いしそうになってきたくらいで(^_^;)。

 全体として、大きく円を描くような指揮。常に息が流れているような演奏。ヴァントのような細密画のようでもなければ、スクロヴァチェフスキのようなエキセントリックさもない。実になめらかなブルックナーの9番でした。オケは実に良く鳴っていました。特に第1楽章の最後の、一瞬ユニゾンになってトゥッティでワーッとなって切れるところは一つの聴かせどころですが、ゾクゾクしました。第3楽章も崩れることなく、最後まで引き締まった音楽を堪能させてくれました。
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