新星日本交響楽団第215回定期演奏会


日時:2000年2月19日(土)午後6時30分〜
場所:サントリーホール
出演:新星日本交響楽団(管弦楽)
    オトマール・マーガ(指揮)
曲目:湯浅譲二/組曲「芭蕉による情景」から
   ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調(ノーヴァク版第2稿)
 期待に違わぬ凄い演奏を聴かせてくれました。前回、5番が凄く良い演奏だったので、どういう指揮をするのかじっくりみてみようと思い、サントリーはP席を買いました。

 指揮者のほぼ真正面から見ましたが、ともかく見やすい棒です。脇を締めて上半身の範囲からあまりはみ出さない空間で棒を振り、打点もわかりやすい。そのせいでしょうか、アンサンブルに全くといっていいほど乱れが感じられません。そして、フォルテッシモでグワーッと鳴るところほど、円を描くような柔らかい棒さばきを駆使するので、叩きつけるようにではなく、パワフルでありながらなめらかな響きがホールいっぱいに溢れます。

 第1楽章の最後の死を予感させるトランペットの後の、ティンパニの弱音。こんなに無音との境界線ギリギリで鳴る美しいティンパニを聴いたのは、初めてでした。また、スクロヴァチェフスキほどではないのですが、通常の演奏では埋もれているような対旋律をかなり強く演奏させていたため、ただロングトーンだけかと思っていたところに意外なメロディーがあり、「ブルックナーって、こんなに歌う曲だったのか!」と驚かされました。

 圧巻だったのは、第3楽章です。後半のクライマックスの、シンバルとトライアングルのところに向かってじわじわと高揚していき、一気にフルパワー。最後は、まさに無音の世界に向かって収束していきました。

 最後の「ミ・レ・ド」、どんな風に締めくくるかと思ったら、棒をクルクルッと小さく回して、最後まで息が流れるような演奏。拍手がフライング気味だったのは、ちょっと残念だったけど、あまりの素晴らしい演奏で、聴衆を興奮させるツボを押してしまったためだと思えば、まぁいいかと。 前半の湯浅さんの「芭蕉による風景」は、一句ごとに曲をつけたもので、何となく句のイメージが浮かんでくるような感じはしました。武満作品よりは、肌に合うという気がしました。

 あした(20日午後2時30分開演)、もう一回あの「ブル8」が聴けるかと思うと、わくわくします。あれだけの名演なのに、サントリーホールは空席が目立ちましたが、もし日曜日に時間があるなら、是非東京芸術劇場に足を運んでください。========================00-02-19(Sat) 23:28========================

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